尖閣諸島付近の日本領海のすぐ外側に位置する接続水域で航行していた中国の漁業監視船が、6日朝までに同水域を離れ中国方面に向かったことを、仙谷由人官房長官が同日午前の記者会見で明らかにした。これまで監視船の日本領海内への侵入はなかったという。
菅直人首相はブリュッセルで4日夜(日本時間5日未明)に中国の温家宝首相と会談し、漁船衝突事件により悪化した関係を改善する方針で一致していた。仙谷氏は首脳会談の影響について「分かりかねる」としているが、中国側の強硬姿勢が軟化した可能性もある。
仙谷氏は「尖閣はわが国固有の領土。歴史的にも国際法上も疑いない」とあらためて強調。「監視船の動きがどうなっていくのか、現時点では確たる予測ができる状況ではない」とし、今後も監視、警戒を続ける考えを示した。
海上保安庁によると、監視船2隻は6日午前3時から5時にかけて北上を開始。接続水域を離れ、北向きに直進して尖閣諸島から遠ざかっている。
漁船衝突事件は9月7日に発生。中国側は9日の段階で、現場海域へ監視船を派遣したことを明らかにし、海保庁の巡視船が9月10日未明に2隻を確認。24日夕に別の2隻とみられる監視船が再び接続水域で航行しているのを巡視船が見つけ、警戒を続けていた。