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患者塾:医療の疑問にやさしく答える 病院見学会 /福岡

 患者塾は11月20日、北九州市八幡東区の西野病院で希望者を対象にした病院見学会を開いた。経営するふらて会グループは「一人一人の生きがい作りとやすらぎの提供」などを理念にし、神経疾患や認知症のリハビリ、予防などにあたっている。参加者13人は施設を回り、敷地内にある「やすらぎの森ログハウス」で西野憲史理事長の話に耳を傾けた。

 ◇心を元気にする診療を--ふらて会グループ・西野理事長

 北九州都市高速・山路出入り口を降りてすぐの八幡東区山路松尾町の山手にある約3万3000平方メートルの広大な敷地。ふらて会グループはここで西野病院(一般病棟20床、神経難病・進行性疾患の療養型病棟50床、回復期リハビリテーション棟50床)を経営する。

 お年寄りの生活を支援する「ケアハウス恵迪館」(20床)▽認知症のお年寄りがスタッフと共同生活する「グループホーム森の家」(27床)▽リハビリテーションなどを受けながら療養する介護老人保健施設「やすらぎ」(90床)--も併設。森や竹林、庭など緑豊かで、利用者は四季折々の散策や園芸活動などを楽しんでいる。

 西野理事長は「ここは救急病院ではありません。リハビリと神経疾患の難病診療、認知症の予防教室などをやっています」と話し、その上で「認知症(アルツハイマー)は原因が分からないところがありますが、楽しい知的活動と有酸素運動、人とのコミュニケーションを中心にやっていくと良いと分かっています」と説明した。

 その「楽しい知的活動」に重要な役割を果たしているのが自然環境だ。西野理事長は「お金がたくさんあれば元気かというと決してそうではない。花を育てると、早くきれいに咲いてほしいと思って毎日水をやるようになる。この気持ちがとても大事な人間らしさの源の一つ。一人一人の心を元気にすることを大切に診療にあたっています」と語る。

 認知症の予防は、高血圧や糖尿病などをコントロールする1次、認知症になりかけの人が少しでも進行しないようにする2次、認知症になっても安心して暮らすにはどうしたらいいかを考える3次、がある。西野病院は1次と軽度の2次予防を、ケアハウスは2次・3次予防、グループホームは3次の予防を担当している。

 西野理事長は「人生の後半に、認知症という不安を抱えて生きていくのはとてもつらい。何とか少しでも進行を遅らせ、健康で意味のある楽しい人生を送れる方法を考えようというのが治療の中心です」と話した。

 ◆記者の一言

 「楽しく美しく格好良く仕事をしてくれ」。産業医大の田中良哉副院長が若い医師たちに掛けている言葉だ。それを聞いて「記者と同じだ」と思った。

 抜いた抜かれたの繰り返し。それでいて明るいニュースは少なく、心が重くなるようなことが次々と起きる。でもそんな時だからこそ前を向くしかない。誰かや何かのせいにして愚痴ばかりを言っても何にもならない。

 「美しく格好良く」とまではちょっといかないが、きつい時にこそ仕事は楽しくやりたい。来年はとびっきり明るいニュースに多く出会えることを願って。【佐藤敬一】

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 ◇相談室

 Q・禁煙外来で待たされた

 たばこを吸って30年になります。今さらやめても健康になる訳ではないと思うのですが、ゆったりとたばこを楽しめる場所もなく、思い切ってやめる決意をして禁煙外来を受診しました。そしたら「今、薬がきれているので待ってほしい」と言われました。福岡市早良区、52歳、女性

 A・新年には薬の準備整う

 喫煙者の多くは、WHOの疾患分類で「ニコチン依存症」と言う病気に当てはまります。要するに、自分の意志ではなかなかやめることができない、ということです。そこで最近注目されているのが「チャンピックス」という薬です。この薬を使うことで、あまり苦しまずにやめることができます。2週間に1回の通院で、6回通うとほぼ禁煙に成功ということになります。最初の1週間は吸いながら薬を飲みます。たばこが10月に値上がりした時に、この薬の評判を聞いた人たちが禁煙外来に殺到したため、新規の患者さんに処方できなくなってしまいました。製薬メーカーから「1月には何とか供給できるようになりそうだ」と報告がありました。新年に禁煙を誓ってから受診したら、丁度準備が整っていると思います。

 Q・自分は「うつ状態」なの?

 出版関係の会社に勤めています。夜10時くらいまでの残業がしばしばですが、それ程苦痛でもなく、好きな仕事なのでそれなりに楽しんでいるつもりです。先日、健康診断でアンケートに答えたら「うつ状態の疑い」と言われて心療内科を受診しました。福岡市中央区、29歳、女性

 A・疲労を疲労と感じない状態

 「健康なのにどうして心療内科を受診する必要があるのだろう」が、本音なのでしょう。電話でいろいろ話してみると、元気そうですが、やはり「うつ状態」と言っていい状態だと思いました。専門医もそう判断して「リフレックス」という薬を比較的短期間の予定で処方したようです。

 「夜何度も目が覚める状態」は、やはり異常です。疲れている心と体に鞭(むち)打って「自分が選んだ好きな仕事だからきついけど無理をして頑張っている」のが実態で、そうした状態が続くと疲労を疲労と感じなくなり、いきなり慢性疲労症候群という重症の心の病気に陥る可能性があります。

 高速道路を130キロくらいで走っている状態と思ってください。自分ではそうは感じなくても、無謀な運転なのです。メンタルヘルス(心の健康)も安全第一の心がけが大切です。

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 ◇質問は事務局へ

 〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内

 電話093・222・1234 FAX093・222・1235

〔福岡都市圏版〕

毎日新聞 2010年12月14日 地方版

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