出版を禁止する趣旨なし
東京都内の大型書店に置かれたある漫画には、幼女としか思えない登場人物による性行為が延々と描かれていた。
1冊のうちの半分以上を露骨な性描写が占めるものもある。
こうした漫画は「少年コミック」「青年コミック」の棚に置かれ、ビニールで包装されていて表紙だけでは一見、他の漫画と区別がつかない。改正案は、こうした漫画を成人コーナーに置き、18歳未満には販売させないという内容で、出版を禁止する趣旨はない。
最初の改正案が都議会に提出されて以降、出版業界などからは、「表現の自由への侵害」「漫画文化を衰退させる」などと反対が相次いだ。しかし、ほかの自治体では都より厳しい規制が設けられている。1冊の漫画で性表現が全体の1割以上か10ページ以上になると成人指定となる場合もあるが、都は、改正案でも、こうした「包括指定」は取り入れず、出版側に一定の配慮をしている。
改正案について、中里見博・福島大准教授(憲法)は、「今回の規制そのものは表現の自由の制約ではなく、対象になる漫画を区別なく『子どもに売る自由』が制約されるだけだという見方ができる。子どもへの性的虐待を防ぎ被害者を生まないための条例で、評価できる」と話している。(井上陽子)
(2010年12月14日 読売新聞)
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