2010年10月15日 11時29分 更新:10月15日 16時10分
【コピアポ國枝すみれ】チリ北部コピアポ郊外のサンホセ鉱山落盤事故で、救出された作業員33人のうち、エディソン・ペニャさん(34)、フアン・イジャネスさん(52)、唯一のボリビア人カルロス・ママニさん(24)の3人が14日夜(日本時間15日午前)、搬送先の病院を退院した。AP通信によると、隣人らが待つ中で自宅に戻ったペニャさんは記者団に「もう戻ることはないだろう」と語ったが、今後は地下での鉱山労働に戻らないという意味なのかは不明。17日までに全員が退院する見通しという。
33人は救出後、コピアポ市内の病院に入院。14日朝に医師団は、全員の健康状態について予想以上に良好との認識を示していた。また、英BBCによると、医師は退院した3人について「運動してもよく、強い光にさらされる時だけサングラス(着用)が必要」と述べた。
日常生活に戻り始める彼らを待ち受けるのは「英雄」としての待遇だ。世界中からプレゼントや招待旅行の申し出などが殺到しており、作業員からはジョーク交じりに「僕たちをスターのように扱わないで」(2番目に救出されたマリオ・セプルベダさん)などと一部で困惑する声も聞かれる。
サッカー欧州リーグのマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)とレアル・マドリード(スペイン)は、全員の欧州招待を申し出た。作業員の中には、元サッカー五輪代表のフランクリン・ロボスさん(53)などサッカーファンも多く、試合観戦ツアーを組む意向という。
ロイター通信によると、地元実業家は作業員にそれぞれ1万ドル(約80万円)を寄付。米アップル社のジョブズ最高経営責任者(CEO)は全員に携帯音楽プレーヤー「iPod」を贈った。ギリシャの島巡りツアーに招待した会社もあった。