朝鮮戦争のさなか、北朝鮮によって、多くの市民らが南から北に連れ去られるなどして行方不明になっている問題について、韓国政府による初めての実態調査が行われることになり、13日、そのための委員会が発足しました。
1950年に始まった朝鮮戦争では、休戦までの3年間に北朝鮮によって数多くの市民らが南から北に連れ去られて今も行方不明となっており、韓国政府は、その数は10万人に上るとみています。連れ去られた人たちは長い間、韓国社会で「北の協力者」とみなされ、残された家族は就職などの差別を受けてきました。韓国政府は、家族たちの強い要望を受けて、このほど初めて実態調査に乗り出すことになり、13日、ソウル市内で調査委員会の発足式が行われました。式では、ヒョン・インテク統一相がおよそ100人の家族らを前にあいさつし、「北に連れ去られた人たちの問題は過去のものではない。北は今も武力による挑発を続けており、歴史は北の蛮行を決して忘れない」と述べました。韓国政府は、来月から家族との面談などから行方不明になった状況を調べて報告書としてまとめ、北朝鮮に対し、生死の確認や被害者の帰国を要求していくことにしています。しかし、60年もの年月がたち、残された当時の記録は少ないほか、被害者を知る人がすでに亡くなっているケースも多く、どこまで実態が解明できるかは不透明です。