名張市健康福祉部は13日、市議会全員協議会で、伊賀地域の2公立病院で実施するとしていた2次救急の機能分担は困難と報告した。岡波総合病院(伊賀市)を含めた3病院による2次救急輪番制を維持しながら、両公立病院は、疾患に応じ専門性を高めた診療をしていくという。また、来年1月から名張市立病院の外科医2人が伊賀市立上野総合市民病院に異動することも発表した。【藤原弘、宮地佳那子】
機能分担は、伊賀、名張両市長が今年3月に締結した「確認書」に基づき、両公立病院が「急性期」「慢性期」別に診療する方針。しかし、機能分担の前提となる内科医の補充が三重大から得られず困難となった。そこで両市は、確認書に差し替え「医療連携協定書」を遅くとも来年1月中に締結する。
同協定書案では、それぞれの医療資源を有効活用するとしている。名張市立はカテーテルを用い、心疾患、脳疾患など血管内治療を強化。上野総合市民は消化器疾患、がん総合医療などを強化する。上野総合市民の消化器疾患の強化を受け、名張市立の外科医2人が上野総合市民に異動。名張市立は「アルバイトや三重大の協力で、救急医療に影響はない」とし、引き続き輪番制について月約50%の担当を維持するという。通常時についても、上野総合市民の外科医が応援に来るという。
同協定書では、拠点病院の設立や両公立病院の経営統合実施については確認書を基本的には踏襲したが、時期の明言を削った。市議からは「経営統合なしに外科医が上野総合市民に行くのは心配」「方針がどんどん変わり、信頼性がなくなってくる」などと批判的な意見が相次いだ。
一方、伊賀市はこの日の市議会全員懇談会で、医療連携協定書案などについて説明。市議の質問に、角田康一副市長は「救急をどうするかの取り組みをやってきて、(拠点病院、経営統合については)手つかずの状態だ。一から、できるのか、できないのかを検討する」などと答えた。
〔伊賀版〕
毎日新聞 2010年12月14日 地方版