ここ数年、化石燃料に比べてエネルギー効率が高く、CO2排出量も約10分の1と少ない原子力発電は急速に見直され始めている。そして、中国やインドを中心に、世界各国で原子力発電所の建設ラッシュが相次いでいる。
しかし、確認されているウラン埋蔵量の約5割をオーストラリアとカザフスタン、そしてカナダの3カ国が占めており、今後、ウランの争奪戦が激化すると予想される。経済協力開発機構(OECD)と国際原子力機構(IAEA)の共同調査によれば、2015年ごろには深刻なウラン供給不足が発生する可能性があるとの見方もある。
CO2排出量削減に一役
これまで日本はウランを全量輸入に頼ってきた。その一部を日本の領海から採取できれば、資源国のカントリーリスクや資源政策、さらに資源の枯渇に対する不安を回避することができる。
「海水中のウランが合理的な価格で捕集でき、原子力発電所の燃料として利用できるようになれば、長期にわたってCO2削減への対応が可能となる。課題解決に向け今後も地道に研究開発に取り組んでいきたい」。こう瀬古氏は力強く語る。