2010年12月14日5時32分
日米両政府は在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の総額について、2015年度までの5年間、現行水準を維持することで合意した。日本政府関係者が13日、明らかにした。中国の海洋進出や朝鮮半島情勢の緊迫化を踏まえ、5年単位で総額をしばる異例の「約束」に踏み切った。
思いやり予算の総額は00年度から減っており、10年度は1881億円(99年度比32%減)に抑えていた。
思いやり予算についての日米の特別協定が期限切れとなるため、日米両政府は来年度分以降の取り扱いを協議していた。その中で、米側から「日本周辺の安全保障環境の悪化」を理由に削減に強く反対され、来年度分のみならず、将来的な「現状維持」まで容認する結果となった。近く菅内閣が決定する中期防衛力整備計画(11〜15年度)にもこの趣旨を書き込む。
内訳を見ると、今後5年間で増額されるのは、米軍住宅の太陽光発電などの環境対策費など「提供施設整備費」。同費は日本側の判断で削れる部分だったが、米側の要求を受け入れた。一方で、基地労働者の給与などの「労務費」と米軍の光熱水費については減額し、全体で帳尻を合わせる。労務費で96年度以降の日本側負担の上限人数(2万3055人)を引き下げるほか、米軍の使用する光熱水費の76%にあたる249億円(10年度)の負担額、割合を引き下げる。(鶴岡正寛、河口健太郎)