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【甘口辛口】12月13日

2010.12.13 05:00
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 浅田真央の出ないフィギュアGPファイナルは、やはりぽっかりと穴のあいたような物足りなさを感じた。代わって16歳の村上佳菜子がすばらしいジャンプ力で3位になり、新しい力の台頭は見せてくれた。世の中は絶えず新しいヒーロー、ヒロインを求める。そんなニーズに応えた銅メダルだった。 

 村上だけではなく、4位の鈴木明子、5位の安藤美姫もフリーはほぼノーミスの演技を見せた。女子の層の厚さには、浅田の影が薄くなってしまうほどだ。このままでは、来年3月末に東京で開かれる世界選手権代表の3人の枠に、浅田が割って入れるかどうか微妙な情勢ではある。 

 日本スケート連盟の橋本聖子会長は「誰もが納得する形で」と浅田を特別扱いせず、24日からの全日本選手権で3位以内を代表への条件としている。それはそれですっきりしていて好ましい。どのスポーツでも五輪や世界選手権で選考に情実が絡むとろくなことはない。白か黒かの一発勝負、それがスポーツでもある。あいまい決着は政治の世界だけで十分だ。 

 佐藤信夫コーチがGPファイナルで遠征中、浅田の臨時コーチを務めた小塚嗣彦氏はいう。「不調、不調と周りがいうだけで本人は精神的にも何も変わらない。一段上を見て、より質のいいジャンプにしようと練習している。その勇気にはむしろ頭が下がる。総合的にも3人より一枚も二枚も上。全日本は心配ない」

 昨季も「不調」といわれながら、全日本で4連覇を達成し五輪代表を勝ち取った。浅田の土壇場での精神力の強さに期待したいが、たとえ黒と出てもまだ先は長い。5年近く背負ってきた重い重い荷物をおろし、ひと休みにすればいい。(今村忠)


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