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大阪・梅田北ヤード再開発:「森」構想に疑問も 官・財から「採算取れぬ」

 JR大阪駅北側(梅田北ヤード)の再開発について、森をつくる構想を橋下徹・大阪府知事が打ち出した。大阪市はサッカースタジアム建設を支持するが22年のサッカー・ワールドカップ(W杯)の招致は失敗、スタジアム建設は大義を失った状況だ。来春の統一地方選で争点になる可能性もある。森構想に実現性はあるのか。

 「森は現実的なプランでない」と大阪市の担当者は言う。梅田北ヤード24ヘクタールのうち、7ヘクタールの「先行開発区域」は着工している。スタジアムや森の構想が出ているのは残り17ヘクタールの「2期開発区域」。企業などが土地を買い上げ、収益の上がる施設を建設するのが再開発計画の骨組みだ。同市の担当者は「森では採算が取れず、民間企業が土地を購入すると思えない。財政難の自治体が購入するのも困難だ」と疑問を呈する。

 一方で、先行開発区域の開発事業者である大林組の大林剛郎会長は、「決まるまで緑地として整備しておくのは一案だ」と“消極的賛成”ともとれる意見を述べたが、「土地代が安い今の方が開発しやすいかもしれない」とも話す。

 「森」構想の芽は08年から。関西経済同友会は同年9月に「緑と水のグリーンパークとして整備を」と提言。山中諄代表幹事は「住民のやすらぎの場となる森や緑が一番。維持費は市民らに広く求めればいい」と話す。

 もともと、橋下知事はW杯招致とスタジアム建設に賛同していた。だが、W杯開催地決定直前の先月27日、街頭演説で球技専用スタジアム建設に反対し森構想をぶち上げた。大阪市の平松邦夫市長はスタジアム建設構想は続行する方針で、森構想に反対している。

 関西電力の森詳介会長は「スタジアム建設なら資金は国が出さなければ造れないし、公園も開発主体が決まらないと動かないのでは。他の活用法も思いつかない」と手詰まり感があることを認める。【小林慎、横山三加子】

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 ■ことば

 ◇梅田北ヤード

 JR大阪駅北側に広がる梅田貨物駅を中心とする約24ヘクタールの区域。旧国鉄の累積債務返済のため、土地所有者の旧国鉄清算事業団が87年、貨物駅移転と跡地売却計画をまとめた。大阪市や経済界などでつくる「大阪駅北地区まちづくり推進協議会」が跡地の再開発構想を練り、市が04年に基本計画をまとめた。先行開発区域(約7ヘクタール)はオフィスやホテルなどを整備し、オリックス不動産など12社が開発を担当。今年3月に着工し、13年春にまちびらきの予定。

 2期開発区域(約17ヘクタール)は昨年7月、協議会が開発ビジョンを策定。「環境」を軸に先進的な研究開発や人材育成の拠点を目指す方針が決まった。しかし、開発事業者や具体的な開発計画は未定で、まちびらきは20~25年になる見込み。大阪市はスタジアム建設を目指すが、W杯招致の失敗で先行きは不透明となっている。

毎日新聞 2010年12月11日 大阪夕刊

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