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世界史の構造 柄谷行人著 古今の歴史論、批判的に再統合

2010/8/22付
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 マルクス主義の失墜以来、世界変革を導く理想が失われて久しい。途方もない貧富の格差、宗教対立、民族対立、横行するテロリズム、とめどない資本のグローバル化等々を前にして、我々はただ、展望をもてないまま、シニシズムや一時的な弥縫(びほう)策に終始することを強いられている。そうした中、本書は、世界史の動力の「構造」を明らかにし、変革のための理想の回復を目指そうとするきわめて野心的な著作である。

(岩波書店・3500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)
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(岩波書店・3500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

 マルクス主義の史的唯物論は、世界史の動因たる経済的下部構造を生産様式に限定したために国家というものの現実的根拠をとらえそこねた。生産様式ではなく、交換様式という包括的な経済現象こそ重要だ、というのが著者の理論の根幹である。著者は、交換様式A(互酬=共同体)、交換様式B(略取と再分配=国家)、交換様式C(商品交換=資本主義)の三種の交換様式を括(くく)り出し、支配的交換様式の交替として世界史の構造を分析してみせる。そして、交換様式Aの高次元における回復としての交換様式Dを、世界史の理想、カントのいう統整的理念として掲げるのである。

 この理論構成やヴィジョン自体は、すでに著者の『トランスクリティーク』や『世界共和国へ』で提示されていたものだが、本書は表題通り、それを古代から現代への現実の世界史分析に適用した分厚い記述に特色がある。しかし、ヘーゲルやマルクスから、宇野弘蔵、ウォーラーステイン等に至るまでの歴史論(メタ・ヒストリー)を著者の見地からさらに批判的に再統合する形式で展開されるため、本書の論述はきわめて抽象度が高い。しかし、論旨は見事にクリアーである。

 「資本=ネーション=国家」の揚棄を掲げる著者はまぎれもない「左翼」である。しかし、「世界同時革命」への道筋を模索しつつ、本書には、そうした著述につきものの空想的な理想主義、あるいは神話的なロマンチシズム(知識人の良心を慰撫(いぶ)する効果しかないものだ)がかけらもない。これは特筆すべきことだ。だが、逆にいえば、本書に示された闘争の道のりははるかに遠いということでもある。

(文芸評論家 井口時男)

[日本経済新聞朝刊2010年8月22日付]

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柄谷行人、井口時男、マルクス、テロリズム

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