きょうのコラム「時鐘」 2010年12月14日

 就職試験の面接で「お母さんの誕生日を知っていますか」と聞く会社が、かつてあった。これひとつで家庭の姿が推測できるというのだった

福井県がワースト1になった「家族力」調査にも「親の誕生日を知っているか」の項目があった。今回の民間機関の調査では福井県が最下位、富山46位、石川32位と北陸の評価が低かった

かつて「住みやすさ」調査で日本一になった福井や、上位常連の富山や石川の「家族力」が弱いと決めつけられている。これに福井県知事が猛然と反論した。3世代家庭が多い地域は、孫と祖父母の会話の時間があり、親子の会話はその分だけ減るのだ

家族力が弱いのではなく、強くて多彩なのだといい、同調査は「家族力」ではなく、都市型発想の「核家族」調査だとの趣旨である。「住みやすさ」と「家族力」の二つの調査には大きなギャップがあった

都合の良いのから悪いのまで、様々な統計が出る。自分の長所と欠点を知る機会にしたいと、おうように構えていたい。だが、仮に「妻の誕生日を覚えているか」に答えられなければ、これはもう大変なことになる。