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鹿児島市老夫婦殺害事件で無罪判決 裁判員「遺族には申し訳ないが証拠が不十分だった」
2009年、鹿児島市で老夫婦が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われ、死刑を求刑されていた男に対し、鹿児島地裁は無罪を言い渡した。
無罪判決を受けた白浜政広被告(71)は、「(今の気持ちは?)もう...もうね、晴れ晴れとした。ありがとう、おかげさまで。(長かった?)いや〜...どうやって戦おうかって、一生懸命だったから、長いのも短いのもないですよ」と話した。
死刑が求刑された裁判員裁判で下された初めての無罪判決。
鹿児島地裁での無罪判決を受けて、身柄の拘束を解かれた直後、笑顔を見せた白浜被告。
白浜被告は、「『やったー!』と思いました。『出た!』と思いました。ぬれぎぬを晴らすことができまして、誠にうれしい気持ちでございます」、「正直申し上げまして、自分の本心は無罪を確信していました、ずっと。ひどい言葉も言われましたので、1回捕まったら、なかなか出られないなという、恐怖はありましたよね」と話した。
白浜被告が裁かれたのは、2009年6月、鹿児島市内で発生した強盗殺人事件。
蔵ノ下 忠さん(当時91)と妻・ハツエさん(当時87)が自宅で顔や頭を金属製のスコップで殴られ、殺害されているのが見つかった。
事件発生から10日後に逮捕された白浜被告。
決め手となったのは、網戸についていた細胞片のDNAと、現場で採取された指紋が白浜被告のものと一致したことだった。
白浜被告は当時、黙秘していたが、その後、容疑を否認した。
11月に行われた初公判でも、「現場に行ったことはないし、ましてや強盗殺人などは絶対にやってない」と、起訴事実を全面的に否認し、無罪を主張していた。
現場から見つかったとされる指紋については、「警察がわたしの家や車から転写したのでは」と述べ、捏造(ねつぞう)されたとの見方を示した。
これに対し、検察側は論告求刑で、「殺害方法も残虐で、反省の態度は見られず、死刑を回避すべき事情がない」と、死刑を求刑した。
裁判官と裁判員には、有罪か無罪かに加えて、もし有罪の場合は、死刑か無期懲役かという重い判断が科せられた。
そして迎えた判決の朝。
傍聴券を求める多くの人が、たくさんの列をつくっていた。
注目の高さを物語るように、50の傍聴席に対し、1,278人の傍聴希望者が集まった。
そして、裁判長が「主文。被告人は無罪」と言い渡した。
この直後、鹿児島地裁の前では、待機していたカメラの前に記者が一斉に駆け寄り、判決を伝えた。
裁判長は、判決理由の中で、「現場に警察官の足跡などが複数残っていたことからすると、資料採取が行われるまでの現場保存が、完ぺきであったのか疑問」と、捜査のずさんさを指摘。
また、現場の引き出しなどに多くの金品が手つかずで残っていたことを指摘するとともに、凶器による殴打が執拗(しつよう)であったことなどから、「本件犯行の目的が強盗であったのか、疑問が残る」と、金品目当ての犯行とする検察側の主張に疑問を呈した。
さらには、凶器となったスコップから白浜被告の指紋やDNAが採取されなかったことや、現場から見つかった足跡に合う靴が、白浜被告の自宅などから見つからなかったことにも言及。
そのうえで、現場から見つかった白浜被告の指紋やDNAについては、検察の捏造ではなく、被告が過去に被害者宅に入った事実は認められるとしながらも、それをもって白浜被告を犯人とは断定できず、むしろ犯人と被告人との同一性についての検察官の主張は破たんしたと評せざるを得ないと述べ、「被告人がうそをついている一事をもって、直ちに被告人を犯人と認めることはできない」と結論づけた。
この裁判長の判断について、会見で聞かれた白浜被告は、「それはわたしが、とやかく言うべきではないと思うんですよね。わたしは(現場に)行っていない、やっていない。これしかないんだから」と話した。
今回の無罪判決について、元東京地検公安部長の若狭 勝弁護士は、「DNAとか指紋が出てきたというのは、1つの大きな証拠になりますけれど、強盗殺人のときに、その機会に付着したということが言えないと、証拠としては十分ではないと。これはまさしく、疑わしきは被告人の利益に、あるいは疑わしきは罰せずという刑事司法を、原則通りに裁判員の人が判断したと」と話した。
判決を受けて裁判員6人が全員、会見に臨み、複雑な心境をのぞかせながら述べた。
男性裁判員は、「遺族には申し訳ないが、証拠が不十分だった」と話し、女性の裁判員は「遺族の気持ちを思うと、つらい。証拠に基づいて、中立な立場で話し合いをしていた」と話した。
無罪判決を受けた白浜政広被告(71)は、「(今の気持ちは?)もう...もうね、晴れ晴れとした。ありがとう、おかげさまで。(長かった?)いや〜...どうやって戦おうかって、一生懸命だったから、長いのも短いのもないですよ」と話した。
死刑が求刑された裁判員裁判で下された初めての無罪判決。
鹿児島地裁での無罪判決を受けて、身柄の拘束を解かれた直後、笑顔を見せた白浜被告。
白浜被告は、「『やったー!』と思いました。『出た!』と思いました。ぬれぎぬを晴らすことができまして、誠にうれしい気持ちでございます」、「正直申し上げまして、自分の本心は無罪を確信していました、ずっと。ひどい言葉も言われましたので、1回捕まったら、なかなか出られないなという、恐怖はありましたよね」と話した。
白浜被告が裁かれたのは、2009年6月、鹿児島市内で発生した強盗殺人事件。
蔵ノ下 忠さん(当時91)と妻・ハツエさん(当時87)が自宅で顔や頭を金属製のスコップで殴られ、殺害されているのが見つかった。
事件発生から10日後に逮捕された白浜被告。
決め手となったのは、網戸についていた細胞片のDNAと、現場で採取された指紋が白浜被告のものと一致したことだった。
白浜被告は当時、黙秘していたが、その後、容疑を否認した。
11月に行われた初公判でも、「現場に行ったことはないし、ましてや強盗殺人などは絶対にやってない」と、起訴事実を全面的に否認し、無罪を主張していた。
現場から見つかったとされる指紋については、「警察がわたしの家や車から転写したのでは」と述べ、捏造(ねつぞう)されたとの見方を示した。
これに対し、検察側は論告求刑で、「殺害方法も残虐で、反省の態度は見られず、死刑を回避すべき事情がない」と、死刑を求刑した。
裁判官と裁判員には、有罪か無罪かに加えて、もし有罪の場合は、死刑か無期懲役かという重い判断が科せられた。
そして迎えた判決の朝。
傍聴券を求める多くの人が、たくさんの列をつくっていた。
注目の高さを物語るように、50の傍聴席に対し、1,278人の傍聴希望者が集まった。
そして、裁判長が「主文。被告人は無罪」と言い渡した。
この直後、鹿児島地裁の前では、待機していたカメラの前に記者が一斉に駆け寄り、判決を伝えた。
裁判長は、判決理由の中で、「現場に警察官の足跡などが複数残っていたことからすると、資料採取が行われるまでの現場保存が、完ぺきであったのか疑問」と、捜査のずさんさを指摘。
また、現場の引き出しなどに多くの金品が手つかずで残っていたことを指摘するとともに、凶器による殴打が執拗(しつよう)であったことなどから、「本件犯行の目的が強盗であったのか、疑問が残る」と、金品目当ての犯行とする検察側の主張に疑問を呈した。
さらには、凶器となったスコップから白浜被告の指紋やDNAが採取されなかったことや、現場から見つかった足跡に合う靴が、白浜被告の自宅などから見つからなかったことにも言及。
そのうえで、現場から見つかった白浜被告の指紋やDNAについては、検察の捏造ではなく、被告が過去に被害者宅に入った事実は認められるとしながらも、それをもって白浜被告を犯人とは断定できず、むしろ犯人と被告人との同一性についての検察官の主張は破たんしたと評せざるを得ないと述べ、「被告人がうそをついている一事をもって、直ちに被告人を犯人と認めることはできない」と結論づけた。
この裁判長の判断について、会見で聞かれた白浜被告は、「それはわたしが、とやかく言うべきではないと思うんですよね。わたしは(現場に)行っていない、やっていない。これしかないんだから」と話した。
今回の無罪判決について、元東京地検公安部長の若狭 勝弁護士は、「DNAとか指紋が出てきたというのは、1つの大きな証拠になりますけれど、強盗殺人のときに、その機会に付着したということが言えないと、証拠としては十分ではないと。これはまさしく、疑わしきは被告人の利益に、あるいは疑わしきは罰せずという刑事司法を、原則通りに裁判員の人が判断したと」と話した。
判決を受けて裁判員6人が全員、会見に臨み、複雑な心境をのぞかせながら述べた。
男性裁判員は、「遺族には申し訳ないが、証拠が不十分だった」と話し、女性の裁判員は「遺族の気持ちを思うと、つらい。証拠に基づいて、中立な立場で話し合いをしていた」と話した。
(12/10 18:23 鹿児島テレビ)