裁判員裁判では初めて、無罪を主張する被告に死刑が求刑された鹿児島市の強盗殺人事件で、10日、判決が言い渡されます。裁判員たちは、これまでで最も長い40日間の裁判で極めて難しい判断を求められたとみられ、判決が注目されます。
この事件は去年6月、鹿児島市の住宅で藏ノ下忠さん(91)と妻のハツエさん(87)がスコップで頭などを殴られ殺害されたものです。強盗殺人などの罪に問われた無職の白濱政廣被告(71)は、捜査段階から「現場に行ったことがなく被害者も知らない」と一貫して否認し、裁判で無罪を主張しています。検察は「現場に残された指紋などが被告のものと一致したうえ、アリバイがなく、生活費に困っていた被告が金目当てに住宅に侵入し、夫婦を殺害したのは明らかだ」として、裁判員裁判では初めて、無罪を主張する被告に死刑を求刑しました。これに対し、被告の弁護士は「被害者と顔見知りの犯行で、被告に罪を着せようと指紋などの証拠がねつ造された。指紋に頼ったずさんな捜査が行われた」と反論しました。この裁判では、裁判員の選任から判決まで最も長い40日の日程が組まれ、10日午前10時から、鹿児島地方裁判所で判決が言い渡されます。裁判員たちは長期にわたる審理や評議の負担の中で、有罪か無罪かや、有罪とすれば死刑にすべきかどうか、極めて難しい判断を求められたとみられ、判決が注目されます。