北朝鮮による人権侵害を考える強化週間に合わせて、11日、政府主催のシンポジウムが開かれ、拉致被害者の家族からは高齢化が進むなか、一刻も早い解決を求める声が相次ぎました。
東京・千代田区で開かれたシンポジウムでは、初めに拉致問題を担当する仙谷官房長官が、「拉致から30年以上たっても解決できていないことに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。被害者の帰国に全力を挙げたい」と述べました。続いて、拉致被害者の家族が一人一人思いを訴え、このうち横田めぐみさんの父親の滋さんは「当時13歳だっためぐみはことし46歳になってしまった。政府は北朝鮮の行動を待っているのではなく、交渉を行ってほしい」と話しました。母親の早紀江さんは、「政府の『頑張ります』という言葉は何回も聞いてきた。拉致されたのが自分の子どもだったらと考えて、親心を持って取り組んでほしい」と訴えました。また、被害者の親の世代が高齢となり、健康不安が高まっているとして、一刻も早い解決を求める声が相次ぎました。市川修一さんの兄の健一さんは「2年前に母を亡くし、95歳の父は先月脳梗塞で倒れた。せめて父だけでも会わせてやりたい」と話し、松木薫さんの姉の斉藤文代さんは「母が寝たきりになって15年たつが、薫に会いたい一心で頑張っている。しかし一向に解決への動きがなく、こんなに悔しいことはない」と訴えました。