陵墓の在り方に一石の可能性
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陵墓の在り方に一石の可能性

12月9日 18時59分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

今回の発掘調査の結果は、天皇や皇族などが葬られた場所として宮内庁が管理し、立ち入りを禁じている陵墓の在り方に一石を投じる可能性があります。

宮内庁は、大阪・堺市の「仁徳天皇陵」をはじめ、各地の古墳を陵墓などに指定し、原則として立ち入りを禁じています。しかし、研究者の間からは、「現在の指定は江戸時代から明治にかけて文献や地元の伝承などをもとに決められ、信頼性に乏しいものが多い」として、学術的な調査を求める声が上がっています。斉明天皇や大田皇女の墓についても、宮内庁は、奈良県高取町にある丘の一部を指定していますが、それを証明する発掘の成果などはありません。研究者は、明日香村の「牽牛子塚(けんごしづか)古墳」や、今回、新たに見つかった古墳のほうが本当の陵墓として妥当だという見方を強めています。茨城大学の茂木雅博名誉教授は「学問の進展に伴って、より信頼性の高い資料が現れた。現在の陵墓の指定は見直す必要がある」と話しています。これに対し、宮内庁の福尾正彦陵墓調査官は「考古学の成果は状況証拠の積み重ねにすぎず、さらに確実な資料が見つかる可能性もある。また、祭しの対象としての陵墓の尊厳は守られるべきだ」と話し、陵墓の指定や立ち入り禁止の方針に変わりがない考えを示しています。