広島市が解体工事に着手した旧市民球場(中区)で9日、正面一帯が白い防音パネルで覆われた。夕日が差したパネルには向かいの原爆ドームの影が映り、戦後の復興期をともに歩んだ「友」との別れを惜しむかのようだった。
委託業者が、本年度中に解体する正面と一塁側に足場を設置。高さ約20メートルある外壁を正面一帯から防音パネルで覆い、見慣れた都心の風景が一変した。球場内では配線や空調設備の取り外しが進んでおり、近く外壁の取り壊しが始まる。市は保存する外野スタンドの一部を除き、来年度中に解体を終える予定。
市は、跡地に2013年春までに大規模イベントもできる緑地広場などを整備する。一方、市民団体が広島地裁に解体差し止めを求める訴訟を起こしている。
【写真説明】白い防音パネルに覆われ、原爆ドームの影が映り込んだ旧広島市民球場(撮影・藤井康正)
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