法廷の主席検事
パトリシア・セラーズ氏に聞く

「慰安所」設置は国策
法的責任追及に大きな意義


 今法廷で首席検事を務めた法律家、パトリシア・セラーズ氏に話を聞いた。セラーズ氏は1954年米国生まれ。94年旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷のジェンダー担当法律顧問を務めたことで知られている。 (権鍾聲、李相英記者)

 ―今回の女性国際法廷の持つ意義について。

 「従軍慰安婦」問題を解決するうえで積極的かつ総合的な意義を持つと思う。私たちが問題を法的に取り扱ったことによって、人々はこの問題の深刻さをより正確に把握できただろう。

 ―首席検事が提出した共同起訴状のポイントは。

 性奴隷制を設けたのが誰であり、彼らが人道に対する罪を負う者であると明らかにすることに重点を置き、当時の首相や軍関係者などを訴追した。

 「従軍慰安所」は当時の日本の国策として設けられた。軍の様々な書簡、政府関係者や軍人が朝鮮や台湾から「慰安婦」を徴用し戦地に連れ出す手助けをしたという様々な事実、軍人たちが「慰安婦」を欲していた事実、当時の内務省が「慰安所」設置と関連した文書を保有していた事実などが、それを裏づけている。

 ―北南朝鮮の共同起訴について。

 北南が見事に連携し、この問題が日本の朝鮮植民地化に起因しており、今なお清算されずにいるということを、被害者の証言をはじめ具体的な法的根拠と資料で立証した。当時、朝鮮はひとつだったのだから、北南が準備を重ね、共同起訴した意義は大きい。

 ―日本政府が取るべき行動は。

 この問題に対する法的責任を認め、謝罪と補償を行わなくてはならない。被害者が求めているのは「人間的」な対応だ。日本政府は被害者に対し当然のこととして、謝罪と補償を必ず一緒に行わなくてはならない。また今後の再発防止のため、教育などの面で具体的な措置を取るべきだ。

 ―現在、朝・日間では国交正常化のための政府間交渉が行われており、その中で朝鮮は、「従軍慰安婦」問題を含む過去の清算を日本側に強く求めているが。

 過去の犯罪行為に断固として問題提起する姿勢は歓迎する。

 ―今後、問題の解決に向けてどのような行動を取っていくべきなのか。

 個人的な意見だが、まず性奴隷制とは何なのかを明確に知ることが重要だと思う。世界には様々な形態の性奴隷制が存在し、「従軍慰安婦」問題はその最も悲惨な事例だ。こうしたことをきちんと認識し、社会がこのような犯罪に寛容になってはいけない。

 今回、朝鮮の共同検事団が、男女の分け隔てなく力を合わせていたことが印象的だった。このようなことが今後の運動につながっていくと思う。

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