リオン容疑者、仲間かばう？同席者「言わない」

歌舞伎俳優の市川海老蔵（３３）が殴られ重傷を負った事件で、警視庁は１２日、傷害容疑で逮捕した伊藤リオン容疑者（２６）を送検した。伊藤容疑者は「ビル１１階の飲食店内で殴った」と新たに供述する一方で、事件当時の同席者については話さず、仲間をかばうような様子という。一方、東京都目黒区にある海老蔵の自宅には捜査員が訪れ、再聴取した。

伊藤容疑者の身柄は午前７時４０分ごろ、東京地検に移された。警視庁を出発する際、ワンボックスカーの後部座席中央に座り、白いＴシャツ姿。シャッターを切る報道陣に白い歯を見せ、薄笑いを浮かべた。

警視庁の調べに対しては、暴行現場について「東京・西麻布のビル１１階の飲食店内で殴った」と供述。ただ、店内の具体的な場所については話していない。

西麻布２丁目の雑居ビル１１階にあるカラオケバーの個室からは、海老蔵ら３人分の血痕が見つかっている。店の関係者は、伊藤容疑者の先輩格に当たる元不良グループのリーダー（２８）が鼻血を流していたと証言したが、「暴行現場は見ていない」と話している。

伊藤容疑者は「海老蔵さんの言葉や行動が頭にきたので殴った。自分が因縁をつけたわけではない」と話しているが、同席した仲間や、先に手を出したのは誰かなど、当時の状況については「言わない」と、具体的な供述を避けているという。警視庁は仲間をかばっているものとみて、さらに追及する方針だ。

一方で、海老蔵は「酔いつぶれた人を介抱していたら、男に因縁をつけられ、いきなり殴られた」と主張するなど、双方の主張は食い違っている。容疑者送検を受け、この日午後１時７分ごろには海老蔵宅に捜査員が再び訪れ、約１時間にわたって事情を聴いた。