リオン容疑者「言えない」海老蔵側と示談交渉中？

　歌舞伎俳優の市川海老蔵（３３）が顔などを殴られ重傷を負った事件で、傷害の疑いで逮捕された伊藤リオン容疑者（２６）が１２日、東京地検に送検された。警視庁の調べによると「（カラオケバーがあった）１１階の店内で海老蔵を殴った」と認めているものの、詳しい事情に関しては証言を拒否。伊藤容疑者の弁護士が、会見を開くとされている１６日までは無言を貫き、そこから事件が大きく展開する可能性が高まった。

　事件から２週間以上が経過してから出頭し、逮捕された伊藤容疑者。この日午前７時４０分、警視庁から送検され、今後は東京地検の厳しい取り調べを受けることになるが、事件の詳細が明らかになるまでには、時間がかかりそうだ。

　警視庁によると、伊藤容疑者は海老蔵を殴ってけがを負わせた事実に関しては「（海老蔵の）言動が頭にきて、１１階の店で殴った」と、東京・西麻布のビルに入るカラオケバーが暴行現場であることを認めた。だが、「どちらが先に手を出したのか」「事件当時、現場には何人の男がいたのか」「具体的に頭にきた言動とは何だったのか」など、核心部分については「言えない」と口をつぐんでいる。

　これには、一緒にいたと思われる仲間をかばっているとの見方もある。だが、前東京地検公安部長の若狭勝弁護士は「情報をすべて明らかにしないことで、今後示談に持ち込めるかどうかを見極めている段階ともいえるのでは」としている。

　現在、水面下で示談に向けた話し合いがされている可能性を指摘した上で「対立した証言をして、海老蔵さん側を変に刺激しないようにすると同時に、手の内を明かさない作戦に出ていると思われる」。伊藤容疑者の弁護士が１１日に会見の実施を匂わせたことに関しても「それだけでも、（海老蔵側は）動揺したのでは」と説明した。

　それだけに、若狭弁護士は１６日にも予定されている会見に注目している。「海老蔵さんから先に手を出したとの証言や、被害届の提出について明言した場合は、（示談に向けた）話し合いが決裂したとみることができますし、あいまいな内容に終始した場合は、示談が進んでいるとみることができるのでは」。いずれにしても、会見の内容が今後の事件の方向性を示すターニングポイントとなることは、間違いなさそうだ。

　◆海老蔵は自宅で再び事情聴取か　○…都内にある海老蔵の自宅には午後１時過ぎに捜査関係者とみられる男性２人が入った。会見で「何人かに殴られた可能性がある」と説明した海老蔵に対し、伊藤容疑者は取り調べで「殴ったのは自分１人だけ」と話すなど言い分が食い違っているため、改めて事情を聞いたようだ。男性２人は約１時間１０分後に出てきたが、報道陣の質問には一切答えなかった。自宅は午後８時２０分に消灯。また、海老蔵の自宅はすっかり“観光地化”し、カメラで記念撮影する人が後を絶たなかった。

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