2010年12月12日21時24分
大学のキャンパスに立つペドロ・ラミレスさん=堀内写す
オバマ政権は反対派の説得に手を尽くしたが、下院では共和党のほぼ全員が反対に回った。来年1月に始まる新会期では民主党に代わり共和党が下院の過半数を占める。カリフォルニア州で移民問題を専門にするジェシカ・ボバディーヤ弁護士は「年内がこの法律を成立させられる最後の機会だ」と話す。
■対象の移民「事業起こす夢、かなえたい」
この法律ができれば対象になる不法移民の一人、カリフォルニア州のペドロ・ラミレスさん(22)は「僕らは米国の一部。この国で学び、身につけた技能をこの国で生かす機会が欲しい」と話した。
両親とメキシコから来たのは3歳半の時。生まれた街の名も覚えていない。「僕はずっとここ(米国)で育ってきた」
高校生の時に、進路を両親に相談した。「軍に入ろうかな」。軍は不法移民を受け入れない。自分を米国人と思いこんでいたラミレスさんは初めて、一家全員が不法移民だと両親から知らされた。
軍をあきらめカリフォルニア州立大フレズノ校へ。政治学と農業経済学を学び、学生会長にも選ばれた。不法移民と知っているのは周囲の数人だけだったが、今年11月に大学新聞に匿名のメールが送られ、紙面で暴露された。「強制送還されるのでは」とおびえたが、「DREAM法」を支持する学内集会に参加を求められ、意を決して出た。
「不法移民の父が果たせなかった、事業を起こす夢を実現させたい。MBA(経営学修士)を取ってワイナリーを持つのが目標」とラミレスさんは話すが、現状では不法移民に合法就労の道はない。ボバディーヤ弁護士は「彼のように、高等教育を受けたのに仕事に就けない不法移民はたくさんいる。米国にとっても大きな損失だ」と語った。