中国の軍事力の台頭を背景に、近年アメリカ軍は東シナ海をのぞむ南西諸島方面での演習に力を入れるとともに、この地域の住民との交流を深めるための活動を積極的に行っています。こうしたなか、アメリカ海軍の音楽隊が12日、沖縄県の宮古島で初めて演奏会を開きました。
宮古島で初めての演奏会を行ったのは神奈川県の横須賀基地を拠点にしているアメリカ海軍第7艦隊の音楽隊で、11日アメリカ軍の輸送機で到着しました。演奏会には市民およそ800人が集まり、ジャズや沖縄民謡などおよそ20曲が披露されました。アメリカ軍はことし、自衛隊との日米共同統合演習で第7艦隊の原子力空母「ジョージ・ワシントン」を沖縄沖に展開させるなど、中国の軍事力の台頭を背景に、南西諸島方面での演習に力を入れるとともに、近年、この地域の住民との交流を深めるための活動を積極的に行っています。宮古島にはことし9月、石垣島には去年4月、アメリカ海軍の掃海艇が沖縄の本土復帰後初めて寄港し、いずれも住民との交流会を開いています。こうした活動の背景には、有事などの際に迅速に対処できるよう、港湾や空港の状況をあらかじめ把握するとともに、この地域との関係を築いておくというねらいもあるものとみられています。今回の演奏会について、一部の住民からは「軍事利用につながる」などとして強い反発の声も上がっており、12日も会場の周囲では抗議活動が行われていました。第7艦隊音楽隊のジェフ・デイビス隊長は「ことしは日米安全保障条約が締結されて50年の節目のため、われわれは各地を回って演奏会を開いており、宮古島にもその一環で訪れた。今回の演奏会は住民との友好関係を深めるいい機会になったと思う」と話しています。