(日文)竜†恋[Dra+KoI] ぎんいろアクマときんいろオバケ Track 12
[Track 12 DRAGON’S TAIL TALE/ONI GOKKO]
「子守唄代わりに寝物語は如何かな?
たとえば……そうだな、こんな夢(ロマン)は?」
「むかしむかしあるところに、ぎんいろアクマがおったとな」
「それはきっと、甘やかな取引に違いない。
英雄であることに耐え切れず、狂った魔王と、
お姫様になれなかった、狂ったヒロインとの、
それは秘め事のような、
蜜事のような、
甘くて、魅惑的な取引だったりに違いない」
「そうか。そうだったのか。
お前が……余の……英雄だったのか」
「玉座に座る魔王は、
盲目で、腕も足もなく。
茫然と佇む姫の目の前には、
魔法の瞳。
銀の足。
銀の腕。
『覚悟があるならばそれを身に纏え』と、
魔王は悪戯に微笑んだ。
代わりに自分には、贋作の竜から捥ぎ取った、
硝子の瞳。
真鍮の足。
真鍮の腕。
姫に手伝わせて、自らの身に纏う。
悪役になるための、竜になるための、
最後の儀式」
「姫よ。余の英雄よ。
一つ、ゲームをしてみないか。
ルールはただの鬼ごっこ。
魔王が逃げて、英雄が追う。
ただそれだけ。
たまには逆であっても良い。
お前が音を上げるのか、余が音を上げるのか。
それとも、時が朽ちてしまうのか。
終わりの条件はその三つだけ。
意味?
意味なんてない。
だけど……この貧しい物語が、単なる痴話喧嘩にまで落魄れてくれるのなら、
こんなにも空しい夢(ロマン)も……ただの男と女による、
他愛もないロマンスの一幕にすぎないというのなら、
もしかしたら俺たちは……
救われるのかもしれないね」
「ああ……それはきっと、そんな、甘やかな取引に違いない」
「かくして、
白銀の魔王は、黄金色の竜となり。
囚われのお姫様は、白銀のヒロインとなって、
犬も食わない、痴話喧嘩を始めるのだった。
だから、今回もまた、こんな語りで、
御伽噺は始まるのだ」
「……な、なんだ?神話固体の反応は……二つ!?」
「「邪魔!!」」
(爆発)
「ぐあああああああああああ~~!!」(飛ばされる)
「ありゃりゃ……お母様。あれは、死んだかな?」
「むかしむかしあるところに、
ぎんいろアクマと、きんいろオバケがおったとな」
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