(日文)竜†恋[Dra+KoI] ぎんいろアクマときんいろオバケ Track 11
[Track 11 SUPERHEROINE VS SUPERVILLAIN]
「足りないぞ」
「はあ……貴方は……」
彼の腕が、首を絞める私の腕を、強く掴む。
血の海から身を起こし、私を睨みつける。
「こんな貧しい憎悪じゃ……贋作の竜の……金めっき一枚……剥がすはできない!」
「ああ……こ、こ、こ、この!」
私の腕を掴む彼の腕が、輝きを帯びる。
私を睨みつける彼の瞳が、輝きを帯びる。
「こんな程度の夢(ロマン)に……殺されてやるはいかないな!!」
「ぎゃあ!!」
私の体を蹴り上げる彼の足が、輝きを帯びる。
地面に転ばされた私は、立ち上がる彼を睨みつける。
「う……!白銀の魔王!」
「久しいな、余の英雄。余のブリュンヒルデ!」
立ち上がった彼は、もはや、かつての彼ではない。
今や一番悪くて、一番強い、三千世界全ての悪。
魔王の名乗るに相応しい、忌まわしいその姿。
即ち、
憎悪に燃える呪いの瞳。
大地を踏み砕く呪いの足。
千軍をなぎ払う呪いの腕。
黄金色に輝く、白銀の魔王。
「私は……
貴方と……
久しぶりね。白銀の魔王。
相変わらず貴方は……なんて不細工な姿なの」
「お前を睨みつけるには、硝子の瞳でこと足りる。
お前を捕まえるには、真鍮の足でこと足りる。
お前を縊り殺すには、真鍮の腕でこと足りる」
言って魔王は、錆び付いたドラゴンの足で仁王立ち。
錆び付いたドラゴンの腕で掲げ、
濁った硝子の瞳で、嘲る様に私を睨め回す。
「さあ、どうする?姫よ。余の英雄よ。
戦う術なら、
あの時与えたはずだ」
「私が……そうね。
私が、ヒロインだものね。大首領。
貴方が、私が変身するのがいいって言ってたかしら?
そうね。だから私は、そのようにするわね」(近づく)
「『変.身!!』……なんてね」
そして、彼女が光に包まれる。
輝きを纏った彼女は、もはやかつての彼女ではない。
一番悪くて、一番強い悪をぶっ飛ばす、正義のヒロイン。
英雄の名乗るに相応しい、尊きその姿。
即ち、
全てを見通す、水晶の瞳。
千里を駆ける、銀の足。
魔を退ける、銀の腕。
菩提樹の葉を付きし、白銀の戦妃。
「英雄は……試練を乗り越えるための、魔法的な手段を与えられる。
どうだい?辻褄は合ってるだろう?」
「ええ。物語は、その通りね。
あとは……貴方が私に殺されてくれれば。
そうよね?甲斐性なし」
「余が死ぬに足る夢(ロマン)が、其処に宿っているならば。
或いは、その通りかもしれないな。地雷女」
「あふふ」
「てははは」
「それじゃ……貴方と私は」
「始めるとしよう。痴話喧嘩の続きを」
「なあ!!!」
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