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March 23, 2009

(日文)竜†恋[Dra+KoI] ぎんいろアクマときんいろオバケ Track 04




[Track 04 ROUND & ROUND GIRL]


放課後


彼女はクラスメート。会話を交わしたことおは……ほとんどない。
彼女は……クラスでは不思議ちゃんや電波さんの類にカテゴライズされる人種だった。
なにも、校庭に宇宙人へのメッセージを書いたとか、そういう奇怪な行動があったわけじゃない。
だけど、雨季を場馴れした雰囲気が、彼女を孤立させていた。
それを気にしている風もない彼女ではあるだけれど、
人とは違う瞳で、世界を見ているような……そんな印象。
もちろん、話しかけたことなんてなかった。だけどどうやら、彼女が見る世界に、巻き込まれたらしい。


「御機嫌よう、大首領。今日は、貴方が元気?今日も一日、貴方はがんばれたかしか?」

「幸いにも無明相殺だよ」

「そう、それはよかったわね。私も、貴方と同じように元気だったわ。今日も一日、私は健やかに過ごせたの」

「それはよろしゅうございました」

「それでね。昨日の話を続けるのね」

「ああ……」

「あのね、私は大首領について考えたの。大首領は大首領だから、大首領は一番偉い人でもあるのね。だから、大首領は悪い人たちの中で一番悪くて、しかも、大首領は悪い人たちの中で一番偉くないといけないのよ」

「そりゃ、そうだね」

「貴方には、部下の悪い人たちがいるかしら?」

「いないよ。全然いないよ!」

「あら……私と貴方の前途は、いきなりタンマね。私は困ったわ」

「そうだね。困ってるよ、昨日からずっとね」

「あら、私と貴方はお揃いね。私はうれしいわ」

「はあ……」

「さあ……私と貴方の悩みは、どうやって解決すれば良いのかしら?貴方には、なにか良い考えが思い浮かぶ?」

「あきらめちゃいいんじゃないかな……」

「諦めることはいけないのよ!」(怒る)

「あああ!ビックリした!」

「貴方が諦めてしまったら、夢(ロマン)は何処にも辿り着かなくなってしまったもの!だからそれは、とてもいけないことなのよ!」

「夢(ロマン)って……?」

「前に、ドラゴンが来たわよね。だから次は、私と貴方のターンなのよ」

「ドラゴン?」

ドラゴン。そう。この国はドラゴンに脅かされている。
50年前。唐突に出現した怪獣。
理由もなく、ただ文明を破壊するだけの存在。
一番最近に現れたのは、すごいスピードで空を飛ぶ白い龍だった。
黒い鎧を着た正体不明の何者に倒されたと聞いている。
ドラゴンが倒される時は、いつもそんな感じだ。
最新鋭の兵器じゃ、まったく歯が立たず。結局は、巨大ヒーローとか、巨大ロボットとか、そんな理不尽な何かに倒されて、いなくなる。

「この前のドラゴンが、ファイナルとは思えないのよ。第二十九、第三十の、ドラゴンがやってくるのかもよ」

「いや……ドラゴンと何の関係が?」

「亀だって復活したのよ!」

「あ……『亀』ってなに?」

「『亀』は、古代で終われたドラゴンのことよ」

「蛇や蟹じゃあるまいし、そんな生き物いないよ」

「貴方が見る世界がそうなの?私は……わかったわ。それでね。今回は、私と貴方のターンなのよ」

「はあ……?会話が成立しない」

「貴方は、私に殺されるのが、夢(ロマン)が求めている内容だから。貴方はしっかりと、大首領でなければならないわね。……貴方は、私の話がお分かりかしら?」

「そこだよ」

「うん?貴方が……何が『そこ』なの?」

「大首領は、正義のヒロインである君に殺されるそうだけど、君がその正義のヒロインである根拠は?それがなきゃ、悪役が黙然立てばかりしても無意味さ」

「貴方は、私が貴方を殺すヒロインである証拠が欲しいの?」

「む……そういうことになるかな」

「なら、私は、貴方に『それ』を見せるわね」(脱ぐ)

「え……?ちょ、ちょっと!何でいきなり脱いで!?」

彼女は、胸元をはだけた。ふくよかな乳房に、目を奪われる。
心臓が、激しく脈打つ。

「これが、そうよ。」

「え?」

彼女の胸元。ちょうど心臓の上。
葉っぱの模様の、【痣】があった。

「貴方が正解よ。その痣は、菩提樹の刻印なのよ」

「菩提樹?」

「菩提樹の葉は、ジークフリートの弱点なの。ジークフリートは、【竜殺し】の英雄ね。だから、私はヒロインなのね」

「ジークフリート……」

『ニーベルンゲンの歌』に登場する【竜殺し】。
悪竜の血を浴びて、不死となった英雄。

「そして、刻印は……貴方にも」

「ああ!?」

彼女な白い指が、喉元に触れた。その瞬間、

「あぐ!ぐ……」

まずは、焼けるような熱さ。次に、底冷えするような冷たさ。

「なんだ?これ」

喉笛にいつの間にか、鈍い黄色に輝く金属片が埋め込まれていた。
まるで、鱗にも似た。

「ふふ……ねえ、その逆鱗が、貴方が悪である証。その逆鱗が、英雄に殺されるドラゴンの証。その逆鱗が、ヒロインに倒される、悪の大首領の証。
貴方は、私に……殺されるのよ。魔王」

「……つ」

「今日は、もうここでさよなら。また、私と貴方は、一緒に頑張っていきましょうね。貴方は私に殺されるドラゴンになるために頑張って。
私は、貴方を殺す英雄になるために頑張るの。
それじゃ、御機嫌よう」

「……鱗?……ドラゴン?……大首領?……魔王?」


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