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黒星の数さえも勲章…勇退の福井商・北野監督

報徳学園に敗れ、スタンドへのあいさつを終えて引き揚げる福井商・北野監督(左から2人目)と選手たち=近藤誠撮影

 報徳学園4─2福井商(全国高校野球・2回戦=15日)──甲子園にラッキーゾーンや手書きのスコアボードがあったころからの常連監督が、最後の夏を終えた。

 福井商・北野尚文監督(64)。「やっぱり残念。負けると悔しい」。唇をかみしめた。

 手は尽くした。四回は、重盗で同点を狙ったが失敗。3点を追う七回にはスクイズも仕掛け、打者の特徴によって右翼手と左翼手を入れ替えもした。しかし、結果は競り負けだった。

 1968年の就任以来、北陸の県立高で強いチームを作る難しさを感じ続けた。ただ練習試合より、甲子園での試合の方が何倍も得るものが大きいと知っている。「だから、勝って強くなるしかない」。大舞台に出て、そこで勝つことにこだわった。78年春の選抜準優勝など、春夏計36度の甲子園で通算31勝36敗。他校の監督と比べても、「負け数は私が一番多いんじゃないですか」と笑う。名将にとって黒星の数さえもが勲章だ。

 今年度限りで勇退するが、それまでは新チームの指導に取り組む。「休んでいる暇はない」。まだ甲子園の優勝がない福井県で、残った情熱を振り絞る。(高岡学)

2010年8月15日22時10分  読売新聞)
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