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デリバティブ倒産増加 中小が円高で損失、銀行に恨み節(1/2ページ)

2010年12月12日4時3分

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 為替変動によるリスクを避けるための金融商品「デリバティブ」を銀行から購入した中小企業が、急激な円高でかえってその取引による損失が生じ、倒産に至ったケースが相次いでいる。「融資とセットで購入させられた」など、銀行に対する企業側の不満は強く、全国銀行協会への苦情・相談件数も増加した。金融庁は深刻な事態として実態調査に乗り出した。

 東京都内の食品輸入販売会社は今年9月、約5億円の負債を抱えて倒産した。担当者によると、中国などアジア各国からドル建てで食品を輸入していた同社は2003年ごろ、3銀行から勧められ、デリバティブを購入。デリバティブは企業と銀行が事前に決めた交換レートでドルを取引できる金融商品で、1ドル=120円だった当時、110円で購入できる契約だった。

 担当者は「円安が続くからお得だと言われた。初めて銀行の接待を受け、銀座でステーキを食べた」と契約時を振り返る。だが、08年秋のリーマン・ショック後の急激な円高で、1ドル=90円台に突入した。それでも、市場レートより不利な110円でドルを購入しなくてはならず、「本業は黒字だが、デリバティブの損失が上回る」状態に。給与や経費の削減や在庫の売り尽くしで資金をかき集めたが、力尽きた。デリバティブの中途解約も考えたが、違約金を負担できなかったという。

 帝国データバンクによると、デリバティブによる損失が原因で倒産したケースは08年は3件だったが、09年に9件、今年は16件(11月末現在)と急増した。全銀協に寄せられたデリバティブに関する苦情・相談件数も同様で、全銀協のあっせん委員会が受理した件数は、08〜09年は四半期ごとに4〜11件で推移していたが、今年に入って同期ごとにいずれも20件以上となっている。

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