【ゆうゆうLife】基礎年金 75歳から? 80歳から? (1/4ページ)

2010.12.10 09:06

現行制度に組み込まれた給付抑制は実施されず、特別会計の取り崩しも検討される。制度の行方が危ぶまれる

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 ■安定財源なく、給付減は進まず

 基礎年金を受け取る年齢を、今の65歳から75歳や80歳にする案が出ている。荒唐無稽に見えるが、提唱する側には「このままでは、将来世代が負担しきれない」との危機感がある。足元では「100年安心」のため導入された年金抑制策が実現されず、来年度予算編成では安定財源がないまま、基礎年金の国庫負担割合の引き下げまで検討された。年金制度の行方は不透明感を増している。(佐藤好美)

 ◆平均寿命後をカバー

 今秋、東京都内で開かれた「年金の将来」(一橋大学主催)のフォーラムでは基礎年金の75歳支給案、さらには80歳支給案まで飛び出した。

 80歳支給案を主張したのは、東京大学の井堀利宏教授(経済学)。「ちょっと現実離れしているが」と前置きし、65歳から支給される基礎年金を80歳からにし、全額消費税で賄う案を解説した。

 井堀教授案では、20~60歳は強制積み立ての年金保険に入り、積み立てた年金を60~80歳で受け取る。80歳以降は全額税による月7万円弱の公的基礎年金を受け取る。

 井堀教授は「平均寿命の80歳までは生きることが予測できるから、自助努力が必要。積み立てなら掛けた分が戻ってくるから、逃れるインセンティブもない。逆に、寿命を超える“長生きリスク”は予測できないから、政府はそこだけ面倒を見る。80歳以降は人数も少ないから社会全体で支えられる」と言う。公的年金の役割を絞り、将来世代の負担を軽くする案だ。

 だが、問題は移行措置。高齢世代、現役、将来世代が“三方一両損”になるような年金減と負担増を考えるが、妙案はない。

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