政治

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松田喬和の首相番日誌:鳩山前首相に聞く

 ◇非常時の小沢排除、納得できぬ

 民主党内の抗争が激化している。今回は番外編として、小沢一郎元代表に近いが、菅直人首相とのパイプも持つキーマン、鳩山由紀夫前首相に今後の政局展開を聞いた。

 ◆「ねじれ国会」打開策

 --首相の政権運営手法はいかがですか。

 鳩山氏 党内に抵抗勢力を作り出す小泉流だ。原点を忘れ、何をやりたいのか国民に伝わっておらず、一朝一夕には回復しない。

 --首相は社民党に接近しています。

 鳩山氏 法案を成立させる上で、一番楽なのは衆院で3分の2を確保すること。社民党に加え、弟(鳩山邦夫元文相)とか与謝野(馨元官房長官)さんとか、舛添(要一元厚生労働相)さんとか、いくつかの政党との協力も一つだ。社民党への接近策は、公明党に協力を迫るメッセージとも考えられる。

 --民・公連立政権なら安定しますか。

 鳩山氏 公明党の主張のかなりの部分は受け入れやすいが、逆効果とも思える。公明党の支持母体(創価学会)との距離感を、政権はそれなりに保たなければいけないからだ。

 ◆連立構想

 --仕掛け人は実力者に限られます。

 鳩山氏 本来は党執行部を中心にやるべきだ。勝手に動けない。ただ、請われれば、当然、小沢(元代表)さんも私も協力すると、常々言ってきた。

 --福田康夫政権時の大連立の仕掛け人は渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長でした。最近会いましたね。

 鳩山氏 大連立はもう自分たちは考えていないと。別の言い方をすると、ガラガラポンだ、と。ただ、どういう軸で分かれるかも含め簡単じゃない。渡辺氏からは「自民党にも、民主党にもいろんな勢力があるじゃないか。そういう人たち同士で真剣にこの国の未来を虚心坦懐(たんかい)に議論しあうところからスタートしたらどうか」と勧められた。私は、良いと思うが、小選挙区制度を衆院に導入している以上、党をすぐに飛び出す状況はなかなかできない、と答えた。

 --民主党が分裂することはありますか。

 鳩山氏 政権政党が分裂をするということは基本的にはない、と思う。民主党は大きくは動かないで、他の政党が協力をするという形の政界再編、政権維持はありうる。

 ◆小沢氏の存在

 --強制起訴される小沢さんをどう受け止めていますか。

 鳩山氏 小沢さん自身はすぐには動きづらいが、いざという時には何らかの行動を起こさなきゃならないと言っていた。今の政権運営には、いてもたってもいられない思いではないか。

 --「政治とカネ」問題が決着しないと復活は難しいはずです。

 鳩山氏 その問題で辞めた我々が、なぜ代表選で小沢さんを担いだのか。平時であれば(批判は)指摘通りだと思う。だが、今は外交・安全保障面でも脆弱(ぜいじゃく)になりかねない。小沢さんのような胆力がある人間を、常に意見を述べられる立場に置かなくては国の未来が非常に心配だ。執行部は、小沢さんが国会で真実を述べられる環境作りをまずやるべきだ。「除名」などという小沢さんを排除する動きは納得できない。(専門編集委員、65歳)

毎日新聞 2010年12月11日 東京朝刊

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