リニア中央新幹線:「直線」で決着へ 建設費最少で優位

2010年10月13日 20時52分 更新:10月13日 22時53分

リニア中央新幹線想定ルートの3候補※数字は上が建設費、下が所要時間(いずれも東京-大阪間)
リニア中央新幹線想定ルートの3候補※数字は上が建設費、下が所要時間(いずれも東京-大阪間)

 JR東海が計画するリニア中央新幹線(東京-大阪)について、整備のあり方を検討していた交通政策審議会中央新幹線小委員会(国土交通相の諮問機関)は13日、候補の3ルートのうちほぼ直線の「南アルプスルート」が費用対効果などの面で「優位」とする試算を盛り込んだ報告書をまとめる方針を固めた。報告書は20日にも開く小委員会で公表される予定。これを受けて、ルートは「直線」で決着する見通しとなり、リニア構想が実用化に向けて前進する。

 学識者らで構成する同審議会は年内にも中間報告をまとめ、来春にも事実上のルート選定となる答申を行う方針。

 JR東海の計画では、東京-名古屋を2027年度、東京-大阪を45年度に開業。JR東海はルートの候補として、南アルプスをトンネルで貫く「南アルプスルート」のほか、南アルプスを北に迂回(うかい)する「伊那谷(いなだに)ルート」、さらに遠回りする「木曽谷(きそだに)ルート」の3案を提示し、同審議会は今年3月から各ルートの利便性や経済波及効果などについて検討してきた。

 JR東海の試算によると、「南アルプスルート」は、東京-大阪で所要時間67分、建設費9兆300億円と3ルートでは所要時間が最も短く、建設費も最少。JR東海は建設費用を全額自己負担することもあり、「南アルプスルート」を主張していた。一方、長野県は、地元自治体の要望を受け、「伊那谷ルート」を求めてきた。

 同審議会は、建設費と所要時間などから「南アルプスルート」を優位と位置づけ、南アルプスをトンネルで貫く建設技術についても「問題はない」と判断。長野県も今年6月に開いた小委員会で「伊那谷ルート」に固執しない姿勢に転じていた。同審議会は、長野県内の自治体に対し、リニアの駅と県内の高速道路とを結ぶ地域経済活性化策を提示する方針。【寺田剛】

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