チリ落盤:「奇跡」の瞬間、希望のカプセル届く…救出開始

2010年10月13日 11時18分 更新:10月13日 12時24分

チリのピニェラ大統領(左)と作業員の家族ら=2010年10月12日、AP
チリのピニェラ大統領(左)と作業員の家族ら=2010年10月12日、AP

 【コピアポ國枝すみれ】チリ北部アタカマ州のサンホセ鉱山落盤事故で、地下約700メートルに閉じこめられていた作業員33人の救出作業が始まった12日夜(日本時間13日午前)、鉱山のふもとのキャンプ村「希望」では家族らが無事生還を祈り、世界中から詰めかけた報道陣約2000人が「奇跡」の瞬間を待ちわびた。

 「フロレンシオ・アバロス、マリオ・セプルベダ……」。ゴルボルネ鉱業相が作業員の救出順を発表すると、現場は歓声に包まれた。

 最初に引き上げられたアバロスさん(31)は弟レナンさん(29)と一緒に地下に閉じこめられていた。母マリア・シルバさん(61)は「誇りに思う。強く抱きしめて優しい言葉をかけてあげたい」と話し、気持ちを落ち着かせた。生還の瞬間に立ち会おうと、10時間をかけ現場に駆けつけてきた親族もいて、「待ちきれない。バーベキューしてビールで乾杯したいね」と興奮気味だった。

 一方、最後に救出カプセルに乗り込むのは、33人のリーダー役を務めてきたルイス・ウルスアさん(54)に決まった。コピアポ市内にあるウルスアさんの自宅前で連日、徹夜して祈りをささげていた知人はAP通信に「ウルスアさんはとても責任感が強い人だ。事態を最後まで見届けるつもりなのだろう」と話した。

 地上に引き上げられた作業員はすぐ、現場近くに建てられた仮設診療所で2時間の健康診断を受ける。面会できる家族は作業員1人につき、せいぜい数人に限定される。

 「本当に心配。無事を祈ってる。顔を見たら泣き崩れてしまいそう」。31番目に救出されるペドロ・コルテスさん(25)の母ドリスさん(59)は不安げな表情を浮かべた。父(70)も高齢のため、面会には長男を行かせることにした。

 コルテスさんは地下で、作業員の生活をビデオ撮影したり、地上とのビデオ会議を準備したりする記者役を務めた。「あの子はすべてを記録するつもりなのかしら。私はまだ心の準備ができてない。正気を失ってしまうかもしれない」(ドリスさん)

 サンホセ鉱山はアタカマ砂漠の真ん中に位置するため、寒暖の差が激しく、夜間は急激に冷え込む。家族たちはたき火で暖を取りながら、現場に設置された大型スクリーンが映し出す作業の様子を見つめた。救出の模様はチリ国営テレビと、政府のカメラマンのみ撮影が許可される見通しという。

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