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開業医への軽傷搬送増 尾三地区、09年から制度 '10/12/10

 ▽2次救急の負担減貢献

 尾道市と三原市、広島県世羅町の開業医が、軽い外傷を負った救急患者を積極的に受け入れている。2009年下半期の受け入れ件数は、前年同期の約2倍に上り、10年も順調に推移。役割分担を進め、より重篤な患者への対応を担う2次救急病院の負担軽減に貢献している。

 開業医の診療時間帯に、救急隊員が軽傷と判断した場合、近くの31協力医療機関に搬送する。尾道市と三原市の両消防局のまとめでは、開業医の受け入れ件数は、仕組みが始まった09年6月から同12月、98人(救急外傷患者数1739人)に上った。仕組みがなかった前年同期は47人(同1694人)だった。10年は1〜10月で、118人(同2415人)に達している。

 尾道市、三原市、因島、世羅郡の4医師会や尾道、三原の両市消防局などでつくる県尾三圏域メディカルコントロール協議会(会長・片山寿尾道市医師会長)が、地域医療を守るために仕組みを導入した。現在、整形外科と外科の計31医療機関が協力している。

 同協議会によると、尾三地域では軽症でも尾道市立市民病院などへ搬送するケースが目立っていた。本来は主に重篤な患者を診る2次救急病院の医師に負担が集中し、疲弊につながっていたという。

 同市民病院の突沖(つきおき)満則医局長は「症状をまず判断する救急隊員がレベルアップしている点も、円滑な運用に役立っている。重篤な患者を集中して診る環境が整ってきた」と指摘。片山会長は「地域医療を守るため、開業医に課せられた役割は大きい」と話している。(山成耕太)




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