湊病院問題 長隆氏による民事提訴が「請求の放棄」で決着見込み
※この記事は、平成22年12月15日午後の裁判終結とともに削除いたします。また記事削除後はこの記事へのコメントの閲覧ができなくなります。※
ご報告です。
昨年7月3日掲載のブログ記事 湊病院問題 東日本税理士法人の長隆という人 に関して、第三者委員会である共立湊病院改革推進委員長を務めた同氏より、昨年7月30日付で名誉毀損として民事提訴を受けておりました。訴状の内容は同記事における同氏代理人の成生弁護士のコメントとほぼ同様の内容であり、謝罪広告の掲載と840万円の慰謝料を求められておりました。
またこの提訴とは別に、昨年9月にほぼ同様の内容で、名誉毀損罪による刑事告訴を受けましたが、こちらについては今年7月に「嫌疑不十分による不起訴」となり、終結いたしました。
民事裁判については、昨年10月より静岡地方裁判所沼津支部において、「平成21年(ワ)第678号 謝罪広告等請求事件」 としてこれまでに7回の裁判が行われて来ました。
第8回目の期日を前に11月22日付で、原告代理人から突然「請求の放棄書」が届きました。12月15日の次回期日で、原告側により放棄が陳述されれば、裁判は終了となるそうです。
請求の放棄書には「本件記事が掲載されてから既に1年以上が経過しているが原告が経営する税理士法人の売上が下がることはなく,原告の社会的評価が下がるということはなかった。」 「このため、被告に対し、表現の自由を制限して謝罪広告を求める必要もなく、また損害を立証することも困難である。」などと記されていました。
「請求の放棄」というのはあまり馴染みが無い言葉なので調べてみました。Wikipedia のオリコン・烏賀陽裁判 の項目によると『「請求の放棄」は自己の訴えに理由がないことを自ら宣言する裁判上の手続きであり、自己敗訴宣言に等しい。「提訴の取り下げ」が年に33%起きるのに対して「請求放棄」はわずか0.1%しか起きない。』と書かれています。また法律関係のサイトで調べたところ「提訴の取り下げ」とは異なり、相手方の同意を要さない事、裁判自体は有効となり確定判決と同一の効力が認められるとの事です。
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弁論書において、私は総論として以下のように主張しました。
・本件記事は長氏の名誉を毀損する内容では全くないこと
本件記事を一読すれば明らかなとおり,本件記事には,原告が私利私欲を図る目的を有していたとも,その目的を正当化するために出来レースをしたとも記載されていない。
しかも,本件記事は,被告の認識を一方的・断定的に述べるものではなく,関連する記事へのリンクを貼ることにより,原告の見解や改革推進委 員会,選定委員会などの動き等の情報と比較対象しながら読み進めてもらうことを想定しているものであることが明らかであるから,その記載内容が一方的に原告の名誉を侵害することなどありえない。
原告の主張は,本件記事から文章を断片的に取り出し,それらにつき,本来の文脈を無視してつなぎ合わせ,さらに悪意に基づいて解釈した結果にすぎない。
本件記事全体を読めば,本件記事は,一般閲覧者をして,原告が私利私欲を図る目的を正当化するために出来レースをしたとの印象を与えるものではないことが明 らかであるし,原告が断片的に取り出して訴状に引用する各文章ですら,何ら原告の名誉を侵害するものではないことが明らかである。
またこの主張が認められなかった場合の予備的な主張として、原告が名誉毀損にあたると主張するブログ記事中の5箇所の記述に対して、真実性の抗弁《問題とされている表現行為が、たとえある人の社会的評価を低下させるものであるとしても、公共の利害に関する事実を摘示するものであって(公共性)、その目的が専ら公益を図ることにある場合に(公益性)、摘示した事実が真実に合致するならば(真実性)、名誉毀損の成立を認めない》 を併せて行なってきました。
真実性の立証に関しては、多数の証拠書類を入手し調査分析を続けてきました。今までこのブログでもご紹介してきた大久保婦久子さん関連の寄附金問題などの不自然な事実経過や、一部の組合議員の公募を巡る活動、指定管理者選定委員会の議論と結論の矛盾など多数の不可解な点を指摘してきました。
また、ブログへのコメントや訴状において、改革推進委員会は既に解散しており、自らは指定管理者選定に関与していないと主張していた原告ですが、実際には聖勝会のアドバイザーを務めるなど、応募団体双方に働きかけを行っていた事が判明しました。また裁判の途中から原告は、百条委員会中間報告書を証拠書類として提出し、当方のブログ記事が地域医療振興協会による妨害活動の一貫であると主張しましたが、これは逆に百条委員会最終報告の矛盾点を指摘し反論するきっかけとなりました。
次回期日では、主として原告から当方の第二、第三、第四準備書面に対する反論が行われる予定でした。当方は平成21年12月16日の下田市議会産業厚生常任委員会の議事録(原告らが寄附金の提案者であった事が明記されている)などを証拠書類として第五準備書面を提出する準備をしていました。また、地裁から一部事務組合に対して、百条委員会の調査資料や寄附講座に関連した組合議員の出張復命書などの提出を求める文書提出命令を出していただいておりましたが、裁判の終了により残念ながら書類の入手もできなくなります。
今回の裁判の記録は当該裁判所に行けば誰でも閲覧することができます。また証拠書類には、聖勝会の指定管理者応募書類、選定委員会のヒアリング議事録、百条委員会中間報告書など、重要な公文書も含まれております。
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裁判の結末は、私の完全勝利とは言え、非常に不全感の残るものとなりました。提訴を受けた事自体は全く不名誉な出来事でしたが、裁判の仕組みを身をもって知り、多くの貴重な経験を得ることができました。またこの裁判を機に多くの方々のご協力、ご支援を頂き、重要な情報を収集し、結果として湊病院問題の真実により深く迫る事ができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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コメント
完全勝利おめでとうござします。が、金銭的、時間的、精神的な損害は計り知れないものでしたでしょう。逆に損害賠償請求、もしくは名誉棄損で訴えることなどできないものなのですかね。
#以下は管理機能により削除させていただきました。ご了承下さい。#
投稿: 湊病院職員 | 2010年12月 3日 (金) 00時37分
かなり久しぶりの書き込みです(^^;
先ずは裁判終結お疲れ様でした。
ほんとに時間とお金を浪費しましたね。
裁判に勝つとその分を請求できるのですよね?・・・かな?
お金では傷ついた人の気持ちを癒すことは出来ませんが、せめてもの慰めで謝罪位は欲しいですよねぇ。
とにかく一つ解決お疲れ様でしたm(__)m
投稿: 一市民 | 2010年12月 3日 (金) 18時47分
私はこの訴訟が途中で取り下げになるだろうと話していました。(偉そうでごめんなさい)
権力や資金をもった奴らが、自分に反対する一般大衆を黙らせたい時に使う手に「暴力」と「嫌がらせ」があります。
「訴訟を起こす」のも嫌がらせの一つです。
一般人が訴えられた場合、こう思うでしょう
①とにかく大変なことになった。(一般人は裁判所なんて遠い世界のものと思ってますから)
②訴えられて、世間から悪者扱いされないだろうか?
③裁判に出るのは大変だろう。(仕事があるし)
④弁護士はどうやって雇うのだろう、お金も沢山かかるだろう。
これだけでノイローゼになるかもしれません。
ですから反対派の目立つ者を2~3人告訴しておけば、一般人は静まってしまいます。
そして、目的が達成されたら訴訟は取り下げる・・・と。
だって、訴訟の結果なんて奴らにはどうでも良いのですから。
今回の件がこれかどうか、私は知りません。
あくまでも私見ですから。
しかし、あまりにもそのまんまに見えましたね。
きのじゅんさん以外にも告訴された方がいらっしゃったという噂も聞きました。
以外だったのは「取り下げ」ではなくて「請求の放棄」であった事です。
これ以上の証拠提出が、自分たちが不利になるものを含むと読んだのでしょうか?
兎にも角にも、きのじゅんさん、おめでとうございます。
そしてご苦労様でした。
病院問題は終わってはいませんが、奴らに対しての初めての勝利ではないかな?
ここから新しい波が始まるのかもしれない。
投稿: 案山子 | 2010年12月 3日 (金) 19時47分
湊病院職員さん、一市民さん、案山子さん コメントをありがとうございました。ブログに寄せられるコメントも私の支えとなりました。ただ15日までは終結では無いので、十分な警戒態勢?を続けております。
こちらの勝訴と同等であれば裁判の費用は相手持ちになると思いますが、微々たる物のようです。弁護士費用などは含まれませんので。
「訴訟取り下げ」は裁判が始まった後は、被告の同意が無ければ出来ないそうです。また裁判そのものが無かったことになってしまうそうです。今回取り下げの要請があってもお断りしたと思います。
「請求の放棄」は原告が勝手にでき、被告側にはそれを差し止める手段が有りませんが、裁判そのものは有効になるという違いがあるそうです。
今回の訴訟が案山子さんがご指摘のような意味合いのものか、私にも判断がつきませんが(^-^; そのような行為はSLAPPと呼ばれ、国によっては禁止されているそうです。
投稿: きのじゅん | 2010年12月 4日 (土) 11時20分
SLAPP・・・調べてみました。
なるほどなるほど、でした。
SLAPPには他に slapp ~ on the cheek で「~をビンタする」とあります。
「おらおら~、余分な事を言うんじゃね~よ」とビンタして黙らせるのとのダブルミーニングもあるのでしょうか?
余談の余談になりますが、プロレスの神様カール・ゴッチが「ビンタは女学生の喧嘩で使うものだ。」と言ってました。
投稿: 案山子 | 2010年12月 4日 (土) 16時49分
おめでとうございます。
「お騒がせして、すいません」でした。
これからも応援します。
投稿: 南伊豆住民です | 2010年12月 4日 (土) 23時20分
長い間の労苦 本当にお疲れ様でした。
そして 刑事告訴の勝利につきましては おめでとうございました。
我々ブログの愛読者は、きのじゅん様には本当に申し訳ないのですが、裁判を通じさまざまな事実を知ることができました。
謝罪広告等請求事件
請求の放棄とは、さすが訴訟をおこすことに慣れているのだなと変に感心してしまいました。その理由にも笑えましたが。きっと 提出命令の証拠書類の提出があったら、たちまち原告が不利になるどころか、大きな波紋を呼び起こすことになりかねないですからね。
大変 勉強させていただきました。
投稿: 西の住民 | 2010年12月 4日 (土) 23時57分
案山子さん、南伊豆住民です さん、西の住民さん、コメントをありがとうございました。ねぎらいの言葉をいただき、感謝しております。
SLAPPという言葉は案山子さん御指摘のように確かに掛詞になっているのかもしれませんね。
マスコミも、ジャーナリストも、警察も、検察もあてにできないのが今回の件でよく分かりましたので、手を緩めずに情報収集を続けてまいります。今後とも宜しくお願いいたします。
投稿: きのじゅん | 2010年12月 6日 (月) 23時05分