ジェラルド・カーティスの正体
「政治資金問題第三者委員会でマスコミの偏向報道が明らかに」というエントリーに転載した第三者会議のジェラルド・カーティスコロンビア大学教授の質疑応答の様子を読むと、いやに日本政府や検察の肩を持っているような発言が多いなと思っていた。例えば、下記のような発言。
「日本の公務員バッシングは行き過ぎなので、同じように法務省・検察をバッシングすればいいとは思わない。」
「一方、検察の問題はもっと構造的な問題で、これに対してもう少し長期的な目で見て、検察のやり方についての第三者委員会のような独立な委員会ができて、検討することが必要だと思う。それと、やはり検察はアメリカの場合も、検察やFBIは大変な権力を持っている、目に見えない国家権力を持っている組織なので、それに民主主義のコントロールをどうして及ぼせばいいのかという議論は必要である。アメリカでも、長期に渡ってFBIのディレクタを務めた者が、好きじゃない政治家の税金のことを調べたり、脅迫したり、そういった暗い歴史もある。」
又、小沢バッシングの原因は、あれだけ偏向報道をしていたマスコミにはなく、小沢代表自身や民主党にあるとし、民主党議員に小沢代表への反旗を翻すように誘導している点も不可解だ。
「この事件の結果、民主党の支持率が下がり、小沢代表への批判も広がっているが、その結果責任を一番負うべきなのは小沢代表自身と民主党であって、この点ではマスコミを責める理由はないと思っている。一番の問題は、こういうことになってこういう風に対応しようとしている小沢代表に対して民主党が適切な行動をしていない、これが一番の問題であって、小沢代表がこういうことを言うのならそれでいいのだし、支持しますという民主党は、小沢党になってしまったという印象をすごく与える。党首を守るのではなくて、有権者の支持を得ることが党としてまずやるべきことであって、そういう意味では驚いているというか、民主党にとっては危機的状況であると考えている。」
自民党をかばうような発言もある。
「今回の事件に関しては、検察は自民党のためにやったのではなく、検察のためにやったと思われる。何とか小沢代表が総理大臣にならないよう、民主党が政権を取れば、検察そのものが困る。それに対して検察は、十分国民を説得できないかもしれないけれど、こういう問題があるのだという意識が必要で、検察は、自分の政治的な狙いがあるのではないのかという疑惑は大きいので、検察が説明責任を負う必要があるのだということを、続けて要請すべきだと思う。」
自民党のためにやったのではなく、検察のためにやったとなぜ断言できるのか。きっと政府・自民党とズブズブな関係だからこんなことが言えるのだろう。
そんなことを考えていたら、T_2ndさんがコメントを下さり、天木直人のメールマガジン 要約 2月1日―3日分の中の2月1日メルマガの「ジェラルド・カーティスの投稿にだまされるな」というエントリーを紹介してくださった。
私はジェラルド・カーティス氏を一貫して懐疑的な目で見る一人である。日本の政治に詳しい米人政治学者としてメディアに重宝され、まさしく日米同盟関係の重要性を日本国民の頭に植え付ける、そういう使命を帯びた、日本政府、官僚のお雇い学者に違いない。
この天木氏の記事と、ジェラルド・カーティス氏が書いた東京新聞の記事を読むと、これはますます政府、官僚からかなりの報酬をもらっている日本政府御用学者というか、ただ単に日本語が達者な米国の回し者に違いないと思わずにはいられなくなっちゃうのである。
Afghan Girls, Scarred by Acid, Defy Terror, Embracing School
(NY Times January 13, 2009)
In the five years since the Mirwais School for Girls was built here by the Japanese government, it appears to have set off something of a social revolution. Even as the Taliban tighten their noose around Kandahar, the girls flock to the school each morning. Many of them walk more than two miles from their mud-brick houses up in the hills.
【時代を読む】日本は人道的支援を ジェラルド・カーティス
(東京新聞 2009年2月1日付朝刊) リンク切れ
私の娘が先日、あるアフガニスタンの少女が通う学校に関する米ニューヨーク・タイムズ紙の記事(1月14日付)を読むことを勧めるメールを送ってきた。
少女らに読み書きを教えるのに反対する旧政権タリバンのメンバーが、少女らの学校を攻撃、17歳の少女らの顔に酸を浴びせた。学校は安全対策に努めて授業を続け、顔に傷を受けた女学生らは、攻撃の危険にもかかわらず学校に通い続けている。
記事には次のような記述もある。「日本政府の援助でミルワイス女学校が建設されてから5年、ある種の社会革命が始まっている。タリバンがカンダハル周辺で圧力を強めていても、少女たちは毎朝、学校に集う。多くの少女は山間にある泥れんがの自宅から3キロ以上も歩いて通う」
娘は「私たちは日本政府がこうした分野で、このように関与しているのをなぜ知らされていないのか。日本の安全保障政策などの月並みな記事よりずっと大切なのに」とメールに書いていた。同感だ。
オバマ米大統領はイラクの米軍戦闘部隊を撤収し、アフガンに増派する方針だ。北大西洋条約機構(NATO)諸国などにもアフガンてこ入れ強化を求めている。国際テロ組織アルカイダを粉砕し、アフガンを国際テロの温床ではなくするための闘争で、日本は傍観者たり得ない。
だからといって、日本の関与が軍事的なものである必要はない。日本の国際協力機構(JICA)はアフガンで重要な役割を果たしてきたし、一層大きな役割を担うことも可能だ。大切なのは、経済大国で、自衛以外の武力行使をしないとする民主主義国家の日本にふさわしい貢献ができるように、政府が資金と人材を提供することである。
私はアフガンがオバマ大統領の外交政策のアキレス腱になりはしないか、オバマ大統領は、政府が腐敗し国土を実効支配できていない国の平定という不毛な努力で増派を繰り返すのではないかと懸念している。米国が終わりなき戦いの泥沼に陥る危険がある。
オバマ大統領はアフガンにおける米国の軍事目標を限定すべきだ。テロ攻撃を企てる輩の排除に軍事力を行使する必要はある。だが、ブッシュ政権のネオコン(新保守主義者)たちは、軍事力でアフガンに民主主義をもたらし、将来もアフガンを勢力下に置くという非現実的な目標を設定した。オバマ政権はこうした政策と決別する必要がある。
日本はアフガンに部隊を派遣していないことに引け目を感じる必要はない。日本政府当局者や自民党の政治家たちの発言の中に、派遣したいが憲法九条の規定でできないと示唆しているようなものがあるが、米国など諸外国に、日本は憲法九条を言い訳に使っていると思わせるだけだ。
日本は従来、まず米国が日本に何を期待しているのかを知ろうとし、国内で強い反対が生じるのを避けつつ、米国が納得する最低限の対応を行う姿勢を続けてきたが、これは時代遅れの対応だ。オバマ政権の要求を探るよりも、アフガンなどで何をすれば最も国益に資するかを日本人自身が議論し、日本政府の決定を米国に伝えればいい。
象徴的行為として自衛隊部隊を派遣するのでは、国際社会の評価はもとより日本国民の支持は得られない。大規模な人道的支援、あの少女の学校建設のような支援が、はるかに有意義である。(本社客員、米コロンビア大学教授)
天木氏は、「このカーティス氏の投稿に騙されてはいけない。」という。
人道支援を否定するものは誰もいない。憲法9条の下で日本の援助が人道援助に限られるべきという意見は、護憲論者にも受け入れられやすい。その事を、アフガンの現状と切り離して論ずる限りでは、まったくその通りだ。
しかし、およそ援助の前提となるのは平和の回復である。国際社会が真っ先になすべきは、平和の回復を一日も早く実現することである。まずその事に国際社会の一致点を求めるべきである。
確かに、ジェラルド・カーティス氏は、自衛隊派遣はしなくてもいいけど、人道的支援のための資金と人材の提供をよろしくね。と言っているのであり、この裏に何が隠されているのかわからない。聞こえはいいが、米国が戦争を続ける限り、資金はアフガンの人々を殺すために使われ、人材も兵士として使われる可能性は高い。日本は、資金や人材の提供を、米国が戦争を止めたらという条件付きで行う必要がある。結果的に戦争に加担するような形で米国に貢献するべきではない。
ジェラルド・カーティス氏のプロフィールを見てみると、コロンビア大学で教える以外にも、日本政府の下で御用学者として働いているようだ。これでは、とても日本政府にものを言える立場ではないだろう。
RIETI独立行政法人 経済産業研究所
ジェラルド・カーティス Curtis, Gerald
学歴
1962 ニューメキシコ大学社会科学部にて学士号取得
1964 コロンビア大学政治学部にて修士号取得
1969 コロンビア大学政治学部にて博士号取得
職歴
1976- コロンビア大学政治学部教授(1998- バージェス講座教授)
2000.9- 政策研究大学院大学客員教授
1973-1975 1977-1984 1987-1991 コロンビア大学東アジア研究所所長
1990-1991 コロンビア大学韓国研究センターディレクター
1982-1983 慶應義塾大学法学部客員教授
1976-1977 東京大学法学部客員教授
1972-1976 コロンビア大学政治学部准教授
1971-1972 慶應義塾大学法学部リサーチアソシエイト
1969-1972 コロンビア大学政治学部助教授
1968-1969 コロンビア大学政治学部講師
1968 イリノイ大学政治学部インストラクター
1967-1968 コロンビア大学東アジア研究所リサーチアソシエイト
主な著作物
『政治と秋刀魚−日本と暮らして四五年』(日経BP、2008)
『政治家の役割?「政治主導」を政治の現場から問う』 (編著)(財)日本国際交流センター, 2002.5
"New Perspectives on U.S.-Japan Relations"(編著)(財)日本国際交流センター, 2000.12
「永田町政治の興亡」新潮社, 2001.6
『日本の政治をどう見るか』日本放送出版協会, 1995.11
『アメリカ、日本、そしてアジア:米国政策への挑戦』W. W. Norton & Company Inc., 1994
『ポスト冷戦時代の日本』東京新聞出版局, 1991.12
『代議士の誕生 日本式選挙運動の研究』サイマル出版会, 1983.7
2004年までは、RIETIという独立行政法人で、現在は、東京財団の特別研究員として、研究プロジェクトのひとつであるVCASI(仮想制度研究所)というなにやら怪しそうな(笑)財団でもFellows Listに名前を連ねている。とにかく日本政府とズブズブな関係にあるようで、道理で、カーティス氏の発言の中にも検察や官僚、公務員などを擁護する発言が目立つわけだ。天木氏がおっしゃられるように、カーティス氏の意見に騙されないようにした方がいいだろう。
追記:読者の方からのコメントで、このジェラルド・カーティスは、竹中、小泉とツーカーの仲であることもわかった。
Doogwoodさんからのコメント:
はい、このカーチスおじさんは、ニューヨークにあるジャパン・ソサエティで、しょっちゅう竹中平蔵などと一緒に日本経済に関する対談など行っていますから、まさに竹中と同じ穴のムジナの御用学者さんに間違いありません。
『晴天とら日和』とらちゃんからのコメント:
小泉進次郎
*関東学院六浦高校→関東学院大学卒(留年した説がある)
*卒業後はフリーターをしていた
*コロンビア大学院に留学(修了したのか分からない?)
*米シンクタンク『CSIS』(戦略国際問題研究所)の補助調査員←親のコネ最大限利用する!
*帰国してからは父親(コイズミ)の秘書となる。
小泉進次郎の恩師=コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授
(コイズミと旧知の仲と言われています!)
http://www.youtube.com/watch?v=KSlGYQJy8Uc
ジェラルド・カーティス氏の出版記念パーティーで、小泉純一郎元首相(右)らと談笑するカーティス氏
【集う】ジェラルド・カーティス米コロンビア大学教授 出版記念会(9日、東京都千代田区の日本プレスセンター)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080616/plc0806162055012-n1.htm
ジェラルド・カーティスとコイズミのツーショット。
http://sankei.jp.msn.com/photos/politics/policy/080616/plc0806162055012-p1.jpg
Doogwoodさん、とらちゃん、貴重な情報をありがとうございます。
参考記事:
『Internet Zone::WordPressでBlog生活』 アフガニスタン 日本は人道的支援を
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