ミャンマーで、先に20年ぶりの総選挙が行われたのに続いて、民主化運動のリーダー、アウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁が解除されたことを受けて、日本政府は、これまで人道分野に限ってきた支援を、農業などほかの分野にも拡大していくことを決めました。
ミャンマーの軍事政権は、先月、総選挙を行ったのに続いて、スー・チーさんの自宅軟禁を7年半ぶりに解除しました。こうしたなか、日本の外務省幹部やミャンマーに駐在する大使らが、10日、スー・チーさんの自宅を訪問しました。関係者によりますと、日本側はスー・チーさんに対し、これまで原則的に人道支援に限ってきた援助を、今後、農業や保健分野などにも拡大していく方針を伝え、これに対し、スー・チーさんは、国民に直接届く形で援助を行ってほしいと要望したということです。日本政府は、2003年にスー・チーさんが自宅軟禁されたことなどを受け、ミャンマーへの援助は、原則的に、緊急性の高い人道分野の案件に限定していました。軍事政権が、スー・チーさんを事実上、排除する形で行った総選挙について、日本政府は、公正ではなかったとしていますが、選挙の実施そのものやスー・チーさんの軟禁解除については、民主化に向けた一歩だと一定の評価をしています。今回の支援の拡大は、日本政府がミャンマー政策を見直すことで、ミャンマーへの関与を本格化させたいねらいがあるものとみられます。