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PAC3全国展開へ 防衛計画大綱別表案が判明 '10/12/11

 政府が来週にも閣議決定する2011年度からの新たな「防衛計画の大綱」別表案が10日、判明した。弾道ミサイルを下降段階で迎撃する航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を全国に配備。陸上自衛隊の戦車を現在の約600両から約400両、火砲を約600門から約400門にそれぞれ削減する。複数の政府、自衛隊関係者が明らかにした。

 ▽北朝鮮ミサイルに対処

 海上自衛隊のイージス艦のうち、弾道ミサイル迎撃の機能を搭載するのは現在4隻だが、残りの2隻にも同じ機能を持たせる。PAC3の全国配備と併せて、北朝鮮の弾道ミサイルへの防衛強化が必要と判断した。沖縄県・南西諸島での警戒監視強化のため海上自衛隊の潜水艦を現在の16隻から22隻に増強する方針も既に固まっており、北朝鮮対処と中国抑止を基調とする海空各自衛隊の態勢が鮮明になった。

 別表は各自衛隊の主要装備や部隊規模などを明記する文書で、防衛政策の考え方を示す大綱とワンセットになっている。

 PAC3は現在、全国六つの空自高射群のうち首都圏を守る埼玉県・入間基地の第1高射群、九州北部をカバーする福岡県・春日基地の第2高射群、名古屋や大阪の防護も想定する岐阜基地の第4高射群の各部隊に配備されている。残りの北海道・千歳基地の第3高射群、青森県・三沢基地の第6高射群、那覇の第5高射群には現在、敵の航空機を撃墜するPAC2の部隊が所属。このうち千歳、三沢両基地の高射群には入間などからPAC3の一部を移転し、那覇には11年度予算で新規にPAC3を導入する。

 関係者によると、陸自は戦車を約400両へ減らす一方、別表に明記される主要装備と別枠で戦車砲搭載のタイヤ式装甲車「機動戦闘車」100両超を調達するよう要求。火砲も約400門まで削るが、加えて約100基の地対艦誘導弾ミサイル(SSM)の配備を求めており、いずれも実質的にどの程度削減されるか読み切れない。

 別表には(1)護衛艦を47隻から48隻に増やす(2)輸送機の大型化などに伴い主要作戦用航空機を約350機から約340機へ削減―なども明記。焦点の陸自定員数は現行の15万5千人から15万1千人の幅で最終調整している。




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