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ウィキリークス問題への一考察

神保哲生

提供:ビデオジャーナリスト神保哲生のブログ

恐らくこれは、最後には誰が国益を定義する権限を持つかと言う問題に帰するのだろうが、仮にわれわれは日常的にそれを為政者に委ねているとしても、それは不断のチェックを受けなければならないし、最終的な決定権者が主権者たる国民でなければならないことは論を俟たない。そのチェックがほとんど不可能だったのが、この「機密」問題の特徴であり問題であった、と。

 その意味で、今回のウィキリークスによる情報流出で、政府の情報管理の強化や、機密情報の漏えいに対する厳罰化の流ればかりが強調されることには注意を要する。また、日本でも尖閣ビデオの流出を機に、仙石官房長官を中心に機密情報管理の強化や情報流出の厳罰化が議論されているようだが、わざわざそのような検討会を設けて議論をするのであれば、そもそも機密化の権限をこれまで通りに放置しておいていいのかという根本問題についても、再検討するべきだ。

 繰り返すが、情報を機密化する権限が、濫用や暴走の危険性を内包していることは、子どもでもわかる自明なことだ。しかし、諸般の事情から、その危険性を承知の上で、われわれはこれまで為政者に対して、その特権を委ねてきた。機密情報の(例えば25年後の)公開基準さえ定められていない日本では、事実上の白紙委任と言っていい。恐らく、国家体制を守るためであれば、それくらいの危険性はやむを得ない、ということなのだろう。あとは、一旦、機密権限を渡してしまえば最後。自分たちがどれだけ騙されているかもわからないのだから、騙されているともわからず、こちらはお気楽なものである。

 「その危険性を承知を上」と書いたが、それは論理的に承知しているだけであって、実際にその危険性が顕在化していても(つまり、本来は為政者の権力維持目的や、国益を損ねる形で情報が隠蔽されていたとしても)、それをわれわれが知ることができないのが、この特権の最大の特徴なのだ。(実は騙されていても、それを知らされなければそれはそれで幸せじゃないかという考え方はありなのか。夫が浮気をしていても、ばれなければ許すという良妻の鑑とされる話と同類なのか違うのか!)

 しかしながら、今回の情報流出のおかげで、その是非についてまで再考する機会を得た。ウィキにしても尖閣にしても、流出させた当人の素性や意図とは無関係に、われわれは多くのことを考える必要がありそうだ。

 個人的には、機密指定については明確に法律でその基準を(これもできる限り限定的にすべきだと思います)定めた上で、濫用の余地をできる限り限定する。また、その遵守状況を確認するために、機密情報でも情報の内容に応じて、5年後、10年後、25年後には必ず開示しなければならない開示義務を課す。また、公益的な内部告発の余地を残す意味で、現在の内部告発者保護法を強化した上で、情報漏洩、とりわけ直接人命や人権(プライバシー)に関わる情報の漏洩に対しては、罰則を強化して抑止を図る、といったところが考えられるのかな、と思いますが、これは思いつきレベルなので、一案程度に考えておいてください。
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神保哲生

1961年生まれ。ビデオニュース・ドットコム代表。
米国の報道機関で約10年間の記者生活を送った後、独立。ビデオカメラによる撮影・取材・編集という一連の作業を記者自身が行う「ビデオジャーナリスト」として世界に先駆けて活動。

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