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ノーベル賞:劉暁波氏、平和賞授賞式 賞の「政治化」に賛否

 【オスロ樋口直樹】平和賞授賞式は、招待された65カ国の約4分の1が欠席する異例の事態となった。関係国に圧力をかけた中国政府に批判が集まる一方、他国に政治変革を促すことを目的とする平和賞の「政治化」も議論を呼んだ。

 「中国の民主化の必要性に異論はないが、方法論には国内にも賛否の声がある」。ノルウェーの外交筋は劉氏の受賞が投げかけた波紋をこう説明する。中国政府の態度硬化を招いた「過激な人選」が適当だったのか、「穏健な方法」で緩やかな変革を促すべきだったのか。議論はノルウェーでくすぶっている。

 ノルウェー政府は民主主義や人権といった普遍的な価値観を外交の基軸に据えてきた。対中政策では対話による人権改善を図ってきたが、今回の騒動で「人権対話が閉ざされかねない状況に追い込まれている」(同筋)という。

 ダイナマイトの発明者、ノーベルの遺言で1901年から授与されてきた平和賞は、「国家間の友好関係、軍備の削減、廃止及び平和会議の開催、推進のために最大最善の貢献をした人物、団体」に与えられることになっている。ノーベル賞委員会は「人権擁護や民主化闘争は平和につながる」(ヤーグラン委員長)との解釈だが、「政治的な拡大解釈」を指摘する声もある。

 委員会は政治的に独立した機関だが、委員5人は国会で任命される。現職の国会議員や閣僚は委員になれないが、5人はいずれも元国会議員で、ヤーグラン氏は首相や国会議長を歴任している。このため、ノーベルの遺言に忠実な受賞者の選考や、専門家を交えた委員会構成の見直し、外国籍の委員受け入れなどの検討を求める意見も出ている。

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 ◆ノーベル平和賞授賞式に欠席した17カ国◆

 中国、ロシア、カザフスタン、チュニジア、サウジアラビア、パキスタン、イラク、イラン、ベトナム、アフガニスタン、ベネズエラ、エジプト、スーダン、キューバ、モロッコ、アルジェリア、スリランカ

毎日新聞 2010年12月11日 東京朝刊

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