北朝鮮砲撃:ためらいはむしろ戦闘拡大を招く(下)

「第一線」で防ぐべき

 このため、「北朝鮮の挑発→口だけの“強い対応”→北朝鮮のさらなる挑発」という悪循環なサイクルを、今こそ断ち切らなければならないという。今年5月、哨戒艦「天安」沈没事件が北朝鮮の犯行と確認されたとき、韓国政府は北朝鮮向けのスピーカー放送やビラ散布など、対北心理戦を直ちに再開するという意向を示した。これに対し、北朝鮮が「スピーカーを照準撃破射撃する」と言うと、スピーカーによる放送は延期され、結局「北朝鮮がさらなる挑発に出た際には、スピーカー放送を再開する」という程度まで後退した。また韓国軍は、北朝鮮が西海(黄海)北方限界線(NLL)以南に砲撃を加えた場合には、NLL以北に対応射撃を行うと警告していたが、今年8月に北朝鮮がペンニョン島に向け、初めてNLL以南の海域に砲撃を加えた際には、韓国軍は対応射撃を行わなかった。このように韓国の対応をテストした北朝鮮の次なる砲撃目標は、海ではなく、韓国の領土だった。

 南北軍事実務会談の首席代表として長らく北朝鮮軍と直接交渉し、北朝鮮軍の性質をよく知るムン・ソンムク元国防部軍備統制次長は、「北朝鮮は常に韓国の弱点を突いてくるため、北朝鮮の次なるカードが何なのか、予想するのは難しい。北朝鮮が、罪もない民間人に向け無差別に砲撃を加えた今回の延坪島砲撃は、韓国が現場で直ちに懲らしめても、国際社会では誰からも問題を提起されず、北朝鮮が追加挑発を考えられないようにできたのだが…」と残念がった。

 韓国政府の強い対応方針と共に、北朝鮮の明らかな挑発に対しては、大統領府の政治的判断を待つことなく現場指揮官の軍事的判断によって直ちに対応できるよう、システムを整備しなければならないという指摘も出ている。尹淵(ユン・ヨン)元海軍作戦司令官は、「大統領の指針と現場指揮官の判断が相反する場合が考えられるが、現場指揮官は、交戦規則と作戦例規で保障された権限は徹底して行使しなければならない。大統領と軍首脳部がしばしばウォーゲームを行い、互いの立場が衝突したり、誤解が生じるといった状況を事前に解消しておく必要もある」と語った。

ユ・ヨンウォン記者

【ニュース特集】北朝鮮砲撃、緊張高まる韓半島

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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