首都圏と西海5島を狙う北朝鮮への対応

戦線防衛と平和

 今年に入り、哨戒艦「天安」爆沈事件、延坪島砲撃事件で、韓国軍が北朝鮮による非対称の従来型脅威に弱いことが明らかになり、首都圏や西海5島(西海〈黄海〉沖の北方限界線〈NLL〉近くにある五つの島)を脅かす北朝鮮の非対称兵器が注目を浴びている。

 首都圏を脅かす最も代表的な北朝鮮軍の兵器は長射程砲だ。射程距離が54-65キロに達する170ミリ自走砲、240ミリ放射砲など約330門の長射程砲がソウル市、城南市盆唐区などを射程に入れている。韓国軍の分析によれば、北朝鮮の長射程砲が1時間にわたりソウル都心部を集中的に砲撃すれば、100万人の死傷者が出ると予想されている。北朝鮮がかつて行った「ソウルが火の海になる」との発言も、脅しとは言い切れない。

 約1000発に達するスカッド弾道ミサイル(射程距離300-500キロ)、ノドン弾道ミサイル(同1300キロ)も首都圏を脅かす。これらミサイルによる攻撃の正確度は落ちるが、スカッドに化学弾頭が搭載された場合、ミサイル1発で数千人から数万人の死傷者が出る可能性がある。約20万人に達する北朝鮮の特殊部隊も、首都圏や西海5島を脅かす非対称兵器だ。北朝鮮が仮に西海5島を占領しようとする場合には、甕津半島にいる6万3000人規模の特殊部隊が投入されると予想されている。

 このため、韓国軍はこうした非対称戦力の脅威に対する対策に苦慮している。長射程砲の場合、AN-TPQ-36/37対砲兵レーダーで長射程砲の坑道陣地の場所を割り出し、K9自走砲や多連装ロケットシステム(MLRS)、統合直接攻撃弾(JDAM)などの精密誘導爆弾を搭載したKF16戦闘機などを動員し、精密攻撃を行うことになっている。韓国軍は、240ミリ放射砲は射撃から6分以内、170ミリ自走砲は同11分以内に破壊できるように努力している。

 弾道ミサイルの場合、韓国軍はパトリオットPAC2ミサイルによる限られた迎撃能力しかないため、北朝鮮がミサイルを発射する直前に破壊する方策を練っている。在韓米軍にミサイルを迎撃できるパトリオットPAC3ミサイルが配備されているが、これは米軍基地の防衛を主目的としている。

 北朝鮮の特殊部隊に対しては、結局は特殊部隊で対応せざるを得ないため、韓国の特殊戦線力を強化すべきとの意見が強い。北朝鮮は現在、20万人に達する世界最大規模の特殊部隊を抱えているが、韓国は海兵隊(約2万6800人)を除けば、特殊部隊は約2万人で、北朝鮮の10分の1の規模にすぎない。

李衛栽(イ・ウィジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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