分断の現実を直視せよ(下)

戦線防衛と平和

 特に歴代政権と軍が「北朝鮮との全面戦の脅威は消え、すぐに吸収統一が可能だ」との判断から、北朝鮮による軍事挑発や非対称戦力の脅威をないがしろにしたまま、統一後の周辺国の脅威に対する軍備建設に力を入れたことも、問題点として指摘されている。

 韓国軍は「北朝鮮による局地的挑発の脅威は依然残っており、それに徹底的に備える」と公言してきたが、実際にはそれを実効に移さず、結局は今年に入り、2回も北朝鮮による重大な奇襲を受けた格好だ。

 延坪島への1回目の砲撃当時、正常に作動しなかった対砲兵レーダーは、海兵隊が陸軍から借りてきたもので、延坪島に配備された海岸砲は50年以上前のものでさびついていた。天安爆沈事件では、就役後25-30年たった老朽化した哨戒艦、護衛艦、高速艇などが多いことも明らかになった。

 今年5月の天安爆沈事件以降、最初に開かれた全軍指揮官会議で、軍は軍事力建設の優先順位を従来の(1)北朝鮮との全面戦への備え(2)北朝鮮による浸透と局地的挑発への備え(3)潜在的リスク(周辺国の脅威)から、(1)北朝鮮による浸透と局地的挑発への備え(2)北朝鮮との全面戦への備え(3)潜在的リスク(周辺国の脅威)へと変更することを決めた。

 国防中長期政策の立案に関与した予備役の軍幹部は、「先端武器の増強には15-20年かかるため、統一後に備えた計画をあらかじめ準備、推進する必要はある。しかし、北朝鮮の局地的挑発脅威が現実となった以上、局地的挑発に備えた予算と事業を大幅に増やすべきだ」と指摘した。

非対称戦力とは

 相手の強みを避け、弱点を最大限攻撃し、効果を最大化する戦略。大量破壊兵器やゲリラ戦などを指す。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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