韓国独力での対処を迫られる局地戦(下)
戦線防衛と平和
■中国との衝突を懸念する米国
中国の韓半島(朝鮮半島)戦略も、米国の動きをさらに鈍くしている。中国は北朝鮮を、米国と自国が軍事的に隣接することを防ぐ戦略的な「緩衝地帯」と考えており、米国と北朝鮮の衝突にはデリケートな反応を示す。韓米が西海(黄海)で行った合同演習が、北朝鮮を狙ったものなのにもかかわらず、中国が絶えず「中国の安全保障の利益に影響を及ぼす活動」と非難したのも、これが理由だ。
中国が米国と並びG2(主要2カ国)になる前は、韓半島での軍事的対立は、韓米対北朝鮮という構図だった。このため北朝鮮は米軍を恐れたが、中国が急浮上したことで、状況は変わった。米国は、中国と直接ぶつかることを負担に感じているという。米国は、北朝鮮の「殴って逃げる」スタイルの挑発に応戦すると、それにかこつけて中国が韓半島に軍事的介入を行う可能性があると懸念してており、その場合、超大国の米中がもろに衝突する状況になりかねないからだ。こうした変化が、北朝鮮が繰り返し局地挑発を敢行できる背景となっている。米国が容易には対応できないという点を、北朝鮮は見抜いている。
金泰宇(キム・テウ)国防研究院国防懸案研究委員長は、「米軍はイラクやアフガニスタンなどでの長期的な戦争に疲れ、かつてのように、韓国に一方的支援を行うのは難しく、中国との衝突は想像するのも難しい。韓国が国防分野にもっと多くの資金を投入し、自ら犠牲を甘受する覚悟がないなら、米軍も韓国を守ることはできない」と語った。
■韓米の弱点を知る北朝鮮
韓国軍と米軍の死角地帯を把握している北朝鮮は、延坪島砲撃挑発の後も、さまざまな形の局地挑発を敢行する可能性が高い。専門家らは、西海5島の一時的占領、非武装地帯(DMZ)での制限的挑発、都心テロ、要人暗殺といった挑発により、混乱を誘発しようとするものとみている。韓国軍と韓国政府当局では、北朝鮮の次なる挑発は、特殊部隊による都心作戦の形態を取る可能性があるとみている。しかし韓国軍は、特殊戦を遂行するソウルの特殊戦司令部(特戦司)を京畿道利川に下げることにするなど、北朝鮮軍の最近の動向に逆行する政策を取っている。
北朝鮮の局地挑発に備えるためには、西海5島やDMZなどの接敵地域と、首都圏における防衛戦力を増強するなど、脅威に応じた備えが必要だ。高麗大の柳浩烈(ユ・ホヨル)教授は、「各要因ごとに、脅威に応じた戦略を用意するのはもちろん、奇襲攻撃の際、民間人の被害を最小限に抑える案を研究しなければならない。正規軍の強化と並び、民間防衛組織の再整備が必要だ」と語った。
鄭佑相(チョン・ウサン)記者
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