無能な右派、韓国を守れるのか(下)
大統領府や政府、与党ハンナラ党などの幹部に、兵役を免除された人たちが多く起用されたことで、安全保障絡みの事件が起こるたびに「軍隊に行かなかったくせに」という嘲笑混じりの非難が巻き起こっている。ハンナラ党の安商守(アン・サンス)代表は、魔法瓶を砲弾と誤認するというハプニングで恥をさらし、元世勲(ウォン・セフン)国家情報院長は「北朝鮮による挑発の情報が錯綜(さくそう)した」と言って恥をかいた。ある予備役の将官は、「現政権は多くの国民に対し、『ノブレス・オブリージュ』(フランス語で『財産・権力・社会的地位の保持には責任が伴う』という意)とは程遠いという印象を与えてしまった。軍隊に行ったことのない人たちが、軍や安全保障部門に対しあれこれ指示を下すようでは、国民の印象が悪くなる一方だ」と語った。
政権の幹部が軍に対し、愛情を注いでいないかのように思われていることも、問題点として指摘されている。批判し、是正するときには断固たる態度で臨むべきだが、なだめすかし、かばうというすべも身に付ける必要がある。ところが、現政権は軍に対し、それができていないというわけだ。軍の内部では、「10年ぶりに左派政権から解放されたのに、期待していたような温かい激励の言葉を掛けられたことがない」と不満を漏らす人が少なくない。軍のある幹部は、「盧武鉉前政権下では、軍は『存在の危機』にあえいだが、今は『自尊心の危機』に直面している。力のない方々と話をし、軽蔑感を抱いたことも一度や二度ではない」と語った。ある予備役の将官は、「前政権は笑みを浮かべて『大変だろう』と声を掛けながら、論理的な戦いを仕掛けてきたが、現政権は軍を『腐敗した無能な組織、改革の対象』としか見ていないようで、もどかしいばかりだ」と話した。
軍のある関係者は、「国防予算に関する限り、むしろ前政権下の方が良かったという声が上がるほどだ」と語った。盧武鉉政権下に策定された2004-08年の国防予算は、年平均で8.74%ずつ増額されたが、現政権が策定した09年の国防予算は前年に比べ7.1%の増額にとどまり、今年は3.6%しか増えていない。
これでもかというほど相次いで発覚する軍関連の不正・腐敗は、軍の戦闘能力を根こそぎ食い荒らす、がん細胞のようなものと化している。
今年9月には、新型の軍靴から水が漏れるという問題が発覚し、また7月には、自慢の最新鋭兵器とされたK-21装甲車の致命的な設計ミスにより、乗っていた下士官一人が水中へ転落し死亡した。軍の幹部が建設業者から金を受け取ったり、接待を受けたりしたケースが相次いで発覚したかと思えば、海軍のリンクス・ヘリの部品を交換していないにもかかわらず、交換したかのように見せ掛け金を受け取った軍需業者が逮捕される事件も起こった。国防部の関係者は、「こうした不正・腐敗は、軍の名誉を傷つけるだけでなく、有事の際にまともな戦闘ができなくなってしまう、致命的な要素になる」と語った。
張一鉉(チャン・イルヒョン)記者