無能な右派、韓国を守れるのか(上)

北朝鮮に対する安易な意識

挑発を予想できず、情報収集能力も限界

 「果たして、敵の攻撃から国民を守れるのだろうか」

 哨戒艦「天安」撃沈事件に続き、延坪島砲撃事件に見舞われた韓国国民は、大変な衝撃を受け、心に傷を負った。軍当局は「予測し得ない奇襲に遭った」と釈明したが、国民は「安全保障体制が隙だらけなのではないか」と、冷ややかな視線を送っている。

 李明博(イ・ミョンバク)政権は、安全保障を最高の価値と考える保守派・右派の絶大な支持を受けて発足したが、安全保障に関する能力を強化し、将来を見据えたビジョンを示すことには成功していない。安全保障に関するリーダーシップが欠けているとの声も上がっている。国防や安全保障の現場では、さまざまなマンネリズムが広まり、安易な態度が横行しているが、これを監視・統制し、引っ張っていく「司令塔」が機能を発揮できずにいる。

 昨年6月、政府は盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権下で策定された「国防改革2020」の修正案を打ち出したが、「中身がない」「ビジョンが分からない」などと酷評された。当時、軍の関係者は、「中道実利主義を掲げる政府が打ち出した修正案の中心は、国防改革の予算を621兆ウォン(現在のレートで約45兆900億円、以下同じ)から599兆ウォン(約43兆4900億円)に引き下げるというものだった。あらゆる項目で、予算を減らすということだけに焦点を当てているように見えた」と語った。

 安全保障をつかさどる軍や国家情報院などの、敵に対する安易な意識や無能さも批判の的になっている。

 安全保障の専門家らは、「北朝鮮軍が『主敵』だという認識だけにとどまらず、その敵が実際にどのような挑発をしてくる可能性があるかについても把握し、対処していかなければならないにもかかわらず、それができなかった」と指摘している。合同参謀本部は、「北朝鮮軍が曲射砲を使い、延坪島全域を集中攻撃するなどとは、予想もできなかった」と語った。これは、敵がどういう存在なのか分からなかった、と打ち明けたに等しい。外交通商部の南柱洪(ナム・ジュホン)国際安全保障大使は、「『天安』沈没事件と延坪島砲撃事件は、韓国の安全保障担当者たちが情報を情報と思わなくなり、能力の限界を示したものだ」と指摘した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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