【社説】韓国軍は言葉よりも行動で示すべき
米紙ニューヨーク・タイムズは、最近になって韓国軍関係者が何度も口にしている「北朝鮮による挑発行為に対する自衛権次元での対応」について、米国がどのような考えを持っているかについて報じた。その報道の内容は、「米合同参謀本部のマーレン議長は、(北朝鮮による局地的な挑発行為に対する)韓米共同作戦計画の樹立は“イエス”、戦略爆撃機の使用は“ノー”という考えを持っている」というものだった。しかし「韓国国内の雰囲気を目の当たりにしたマーレン議長は、会見でこの考えについて明言しなかった」という。一方でウォールストリート・ジャーナルは、「マーレン議長は韓国側に対し、単独で動かないよう強く要求した」と報じた。韓国側も、米国が持つこうした考え方については十分に理解している。南北間での偶発的な軍事衝突が、全面戦争に拡大するようなことは決してあってはならないし、米国もこれには巻き込まれたくないと考えている。これは数十年来続く、米国の対韓国政策の基本でもある。
しかし、北朝鮮による今回の延坪島砲撃は、決して偶発的なものではなく、事前の緻密(ちみつ)な準備の下で行われた意図的な攻撃だった。「偶発的衝突」と「意図的攻撃」への対応は、それぞれ異なるべきで、これは韓国国民の一致した考え方でもある。米国もこの考えを理解しているため、マーレン議長は会見で、「韓国は主権国家として、国民を守る権利がある」「韓国に対して、航空機を使う(自衛権行使の)方針を放棄せよとは求めなかった」と発言したのだろう。
その一方で、韓米両国の合同参謀議長による直接協議の後に発表された文言には、「北朝鮮による局地的な挑発行為に対し、韓国軍が主導し、米軍が支援するという形で行われてきたこれまでの作戦計画を修正し、今後は韓米同盟の次元で共同して対応する」と記載されている。これは「北朝鮮による挑発行為には、韓米両国が共に対応する」という意志の表明であると同時に、「韓国軍による単独の対応が危険な状況を招くことを事前に食い止める」という意味合いも同時に込められたものだ。
国連憲章第51条には、「国連憲章によるいかなる規定も、武力攻撃を受けた加盟国が、自らを守るために行う固有の権利を侵害することはできない」と明記されている。この条文によれば、北朝鮮が延坪島の民間人居住地域に攻撃を加えたことに対抗し、韓国軍がF15K戦闘機で北朝鮮のケモ里基地や茂島の放射砲・海岸砲陣地を爆撃したとしても、これは自衛権次元での正当な行動となる。ある国家が敵の攻撃に対していかなる武器で対応するかという問題も、やはりその国が決めることのできる固有の権利であり、現場の状況に合わせて最も適切かつ可能な武器を使用するのが最善の方法だ。このような観点からすると、「戦闘機の出撃」に関しては、「自衛権次元での対応」という問題の本質ではないことが分かる。
延坪島砲撃をきっかけに、韓国軍の首脳らは連日、「強硬対応」という言葉を口にしている。しかし今後はこの種の発言を繰り返すよりも、北朝鮮による再挑発に対して確実に対応できるための準備に力を入れるべきだろう。予想される北朝鮮の挑発行為を細かく分析し、それぞれの状況に応じた兵器の使用や反撃の方法など、仮想シナリオを詳しく取りまとめ、これに合わせて実戦に近い訓練を繰り返しておかなければならない。北朝鮮の攻撃に対して、今回のように無気力な対応しかできないような状況を改善するには、この種の準備を徹底して行う以外にない。