鹿児島

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ペン&ぺん:県警余話 /鹿児島

 鹿児島県警本部が今の鴨池新町に移るずっと前の話。聞いたままを書き記す。(以下、呼称略)

     ◇

 岡本公三。出身は熊本県。鹿児島大農学部に入学し、1970年春、よど号ハイジャック事件で北朝鮮に逃亡した兄の影響で、学生運動に興味を抱く。新左翼、日本赤軍に参加。72年5月、イスラエル・テルアビブのロッド空港で自動小銃を乱射し26人を死亡させ、72人に重軽傷を負わせた。共犯の2人は現場で死亡し岡本だけが逮捕され、終身刑の判決を受けた。

 事件前後、日本の警察庁が岡本の人物像を捜査した。鹿大時代の素行を調べていた警察官。本庁の照会に、こう答えたとの伝聞が残っている。

 「岡本とは一度、マージャン卓を囲んだことがあります。余り強くはなく、自分がマージャンに勝ちました。それ以外に関連情報はなし」

 一度でも接触したことを褒めるべきか。本庁側の反応は聞いていない。

     ◇

 記者たるもの、現金を持ち歩くべし。突然、屋久島でヘリが墜落、飛行機に乗って取材へ行け、などと命じられる可能性が常時あるからだ。

 細川護煕(もりひろ)。由緒正しい武家、細川家の生まれ。日本の第79代内閣総理大臣となった。若かりしころ、記者として鹿児島県警記者室に詰めていた。

 細川の財布が記者室で無くなった。いじわるな先輩記者が、いたずらし隠したのかもしれない。

 「いくら入ってた?」

 細川の答えた額は、当時の金銭感覚では考えられない大金だった。もちろん、周りの記者は大騒ぎ。だが、本人は「財布は買い直せば良い」という表情だったとか。

 今年1月、日経新聞に連載した「私の履歴書」で、細川は支局時代を「大学運動部の合宿の延長みたいな感じ」だったと振り返っている。だが、その連載や「権不十年」などの著作にも、県警財布事件は見当たらない。<鹿児島支局長・馬原浩>

毎日新聞 2010年11月29日 地方版

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