ソウル(CNN) 北朝鮮が23日、韓国の大延坪島や周辺海域を砲撃したことに対して、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は断固とした対応を取る構えを示し、「大規模な報復措置」の可能性に言及した。一方、国際社会からは双方に自制を求める声が上がっている。
韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮による陸上への砲撃は、1953年の朝鮮戦争休戦以来。李大統領はソウル市内の参謀本部で、「韓国領土を侵したとみなされる挑発」と非難。「民間人への無差別攻撃」は重大な問題であり「容認できない」として、北朝鮮が「攻撃的」な行動を続ける場合は韓国軍が一丸となり「挑発に報復」すべきだと述べた。
韓国当局によると、北朝鮮が同島に撃ち込んだ約100発の砲弾で、韓国海兵隊の兵士2人が死亡したほか、兵士15人と民間人3人が負傷。民家や森林で火災も発生した。国防当局者らによれば、韓国軍は80発以上の砲弾で応戦し、戦闘機を出動させた。黄海での交戦は約1時間続いた。
聯合ニュースによると、韓国政府は国民に北朝鮮側への立ち入りを禁止するとともに、今週予定されていた南北赤十字会談を無期限延期し、国連に北朝鮮への非難声明を出すよう働きかける構えだ。
一方、北朝鮮の朝鮮人民軍は、韓国が軍事訓練で北朝鮮側の領海に「数十発の砲弾」を撃ち込んだ「無謀な軍事的挑発」に対する報復だとする声明を発表した。
オバマ米大統領は北朝鮮の行為を遺憾とし、李大統領と電話で会談する意向を示した。また、中国を訪問していた米国のボズワース北朝鮮担当特別代表は記者団との会見で、北朝鮮への「強い非難」を表明するとともに、双方が自制すべきだと主張した。
中国外務省の報道官も事態に「懸念」を表明し、「双方が朝鮮半島の安定に一層貢献することを願う」と述べた。日本では菅直人首相らによる関係閣僚会議が開かれ、仙谷官房長官が「北朝鮮を強く非難する」との声明を発表した。
また国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、「平和的手段と対話による問題解決」を呼びかけた。