【ソウル共同=角田卓士】韓国の聯合ニュースは27日、韓国政府が北朝鮮による延坪島砲撃を受け、北朝鮮を国防上の「主敵」とする概念を復活させることの検討を始めたと報じた。韓国政府筋が明らかにした。北朝鮮の脅威増大を受けたもので、次の国防白書に「主敵」概念が盛り込まれる可能性がある。
韓国政府は1995年から国防白書で、北朝鮮は「主敵」と表現してきたが、盧武鉉前政権時代の2005年刊行の国防白書から「主敵」の記述を削除。包容政策見直しを進めた李明博政権は今年3月の韓国海軍哨戒艦の沈没後、復活を検討したが、結局、変更されなかった。
一方、ロイター通信は26日、米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長がCNNテレビとのインタビューで、北朝鮮の金正日総書記について「信用できる人物ではない」と述べたと報道。マレン氏は中国に対し、北朝鮮の挑発行動抑止のため影響力を行使することも求めた。
聯合ニュースによると、次の国防白書は当初、今月末にも発刊される予定で記述内容は決まっていたが、今回の砲撃に関する記述を盛り込むなど手直しが必要になった。北朝鮮の国防上の位置付けに関する記述の見直しも検討され、発刊時期はずれ込む見通しだ。
砲撃に対する事実上の対抗措置となる米韓合同軍事演習が28日から黄海で始まるのを前に、韓国では緊張が高まっているが、日本でも菅直人内閣の全閣僚が27日、北朝鮮の動向を警戒するため、都内での待機態勢に入った。
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