【東京】日本は9日、韓国との軍事的な協力強化を求める米国に冷淡な反応を示した。日本は韓国との歴史的な緊張関係や国内的な政治問題があり、北朝鮮からの新たな挑発阻止のための韓国との直接軍事協力が制約されている。
訪日した米軍のマレン統合参謀本部議長は9日、自衛隊の折木良一統合幕僚長ら日本側当局者と会談、米国と日韓の3カ国間演習が望ましいとの見解をほのめかした。同議長は日本に対し、韓国の軍事的な技術向上を支援するよう要請した。ただし関係筋によれば、同議長は軍事演習への日本の直接参加は要請しなかったという。
マレン議長は前日、ソウルでも韓国当局者に対し、同様の発言をしている。これに対し、韓国は確たる反応を示さなかった。当局筋によれば、同議長は3カ国間の既存の防衛協力がいずれ完全な合同演習につながるよう希望しているという。
北朝鮮による先月の韓国・延坪島への砲撃事件をきっかけに、極東地域は不安定化している。米政府当局者は、この機に、長年の希望だが実現していない日韓両国の軍事協力強化に何らかの進展を期待している。
マレン議長は折木幕僚長との会談で、日韓両国が歴史的な憎しみを忘れるよう求めた。米当局筋によれば、同議長は「過去のいきさつによって将来を邪魔されるべきではない」と述べた。これに対し日本側は確たる反応を示さなかったという。
米国は日韓両国と安全保障条約を締結しており、両国としばしば軍事演習を実施している。しかし日韓両国にはこうした取り決めがない。日本が朝鮮半島を35年間にわたって占領していたことに対して、韓国でいまだに悪感情があることも一因だ。経済の発展で両国間の関係は好転したが、軍事協力面は最近始まったばかりで、しかも限定的だ。
日本の防衛省の報道官は「日本が韓国との合同演習に参加できる前に、演習参加をめぐる内容と性格を慎重に検討する必要がある」と述べ、「それは同盟国である米国との合同演習とは異なる」と語った。日本は平和憲法により、軍事力の活動が自衛に厳しく制限されているという事情もある。
日本の政権が不安定な時期だけに、米政府は国家安全保障問題で日本を説得するのは難しい見通しだ。
菅直人首相は支持率低迷にあえいでおり、ねじれ国会に伴う内政上の難題を切り抜けようと四苦八苦している。同首相は既に、政権維持のため、国家安全保障問題で譲歩するのではないかとの兆しがある。同首相が国会運営上、平和主義を掲げる弱小野党(社民党)にすり寄る中で、与党民主党は武器輸出に関する長年の禁止措置の緩和計画を破棄する方向に動き出している。