“おー、どうや?”と師に誘われた夏に、塩崎の腹は固まった。まだ球宴前の今年7月。突然、岡田監督から監督室に呼ばれた。
「うすうす、これは来たなと思いましたね」。ただの2軍行きの通告などではなく、重たい話が来ると。対面した指揮官は、塩崎にこう告げた。
『オレがおる間に、選手だけやなく指導者も育ててくれて言われとるんや。オレは塩崎なら十分できると思てるんよ』
コーチ就任の打診だった。ただそれは同時に野球人生最大の決断をも下さねばならなかった…。
ちょうど塩崎も現役続行について考えを重ねていた時期だった。
「来年もユニホームにこだわったとして、果たして納得いく結果が残せるかと。そこに、僕を客観的に見てくれている監督が、背中をポンと押してくれた。ぼやけていた目の前が開けましたね」
入団した97年は、岡田監督がオリックス2軍でコーチ稼業を歩み始めていた。以来の間柄である師からの誘いに「相手が岡田監督なのは大きかった。ほとんどその場で“分かりました”と言いましたね」と振り返る。
後半戦は2軍でプレーしながら、目指すべき指導者像を思い描いた。9月の引退試合で、ダルビッシュから右前打を放ち、14年間の現役生活を終えた。秋は背番号「31」から「86」へと変えて秋季キャンプへ。
「選手は指導を受けると、絶対に分かりましたと言う。でも本当に分かったのかは、目を見て判断しないといけない」
「僕のノックはまだ2、3割程度。あらゆる球筋を打てないと、レベルの高い選手は育てられない」。選んだ道に、迷いはない。
オリックス・退団選手
選手 | 在籍球団 | 守 | 年数 | 年齢 | 進路 |
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菊地原毅 | 広→オ | 投 | (18) | 35 | 広島移籍 |
清水章夫 | 日→オ | 投 | (13) | 35 | 未定 |
山本省吾 | 近→オ | 投 | (10) | 32 | 横浜移籍 |
大久保勝信 | オ | 投 | (10) | 34 | 球団関連業務 |
本柳和也 | オ | 投 | (9) | 34 | 未定 |
仁藤拓馬 | オ | 投 | (4) | 22 | 球団関連業務 |
レスター | 米→オ | 投 | (2) | 31 | 現役続行希望 |
土井健太 | オ | 捕 | (4) | 21 | 巨人移籍 |
塩崎真 | オ | 内 | (14) | 37 | 2軍守備走塁コーチ |
カブレラ | 米→台→米→西→オ | 内 | (10) | 39 | 未定 |
セギノール | 米→オ→米→日→米→楽→オ | 内 | (9) | 35 | 現役続行希望 |
喜田剛 | 神→広→オ | 内 | (9) | 31 | 横浜移籍 |
長田昌浩 | 巨→オ | 内 | (8) | 26 | 未定 |
ラロッカ | 米→広→ヤ→オ | 内 | (7) | 38 | 現役続行希望 |
一輝 | オ | 内 | (7) | 29 | 横浜移籍 |
バイナム | 米→オ | 内 | (1) | 30 | 未定 |
大村直之 | 近→ソ→オ | 外 | (17) | 34 | 現役続行希望 |
浜中治 | 神→オ | 外 | (14) | 32 | ヤクルト移籍 |
相川良太 | オ | 外 | (12) | 33 | 未定 |